今回の評価機は、新世代の“ビジネスユーザー向けの業務用PC”を想定し、CPUにCore i5-520M(2.4GHz/最大2.93GHz)、4Gバイトのメインメモリ(2Gバイト×2)、80GバイトのSSD、DVDスーパーマルチドライブ、64ビット版のWindows 7 Professionalとする構成とした。本体価格は、インテル製SSDを選びながらも、かなりリーズナブルな12万330円だ。
今回の構成の大きなポイントは、SSDの搭載だ。基本構成例の160GバイトHDD(5400rpm)からプラス1万8900円のオプション価格が発生するが、そのメリットは非常に大きい。SSDはHDDと比べて、まず振動や衝撃に強く、動作中でも扱いに神経質になる必要がない。2.5インチHDDでもそう簡単に故障につながることはないが、やはり安心感は段違いで、アクセス時に動作音がしない点も心地よい。そしてなにより、HDDの数十倍にも上るランダムアクセス性能の高さが魅力である。
ストレージベンチマークソフトで計測した4Kバイトのランダムリード/ライトの結果を見ると、参考HDD比で約33倍もの差が付いた。この高いランダムアクセス性能が生み出すキビキビとしたレスポンスは、Windows 7の日常的な作業やWebブラウズ時などでもはっきりと体感できる。Windows 7の起動や終了、スタンバイ状態への移行なども同等クラスのHDD搭載ノートPCと比べても驚くほど高速で、基本性能もそもそも高いことも相まって、“処理待ち”で生じるストレスはほぼ皆無だ。ビジネスの作業能率を高めてくれることは間違いないだろう。
一方、80Gバイトでは容量が少ないと感じるかもしれないが、実は十分である。情報セキュリティ対策をきちんと施す多くの企業では、PCの盗難や紛失、あるいは使用者のミスによる情報漏えいリスクを低減するため、クライアントPCのストレージにはそもそも重要データを保存しない傾向が高まっている。ユーザーデータは厳重なセキュリティで管理された企業内サーバに置くのであれば、クライアントPCには大容量のストレージは不要。むしろ、下手にクライアントPCに大容量のストレージがあると、使用者のミスを誘発する要因にもなりかねない。企業内の管理する側としては、必要最小限の容量のほうが都合がよいという考え方ができる。
さらに近年では、アプリケーションについても企業内ネットワーク経由、あるいはインターネット経由でサービスを利用することを前提としたクラウドコンピューティングもトレンドとなっている。クラウドが前提ならばやはり大容量のストレージは不要であり、ネットワーク経由のサービス利用時は“ストレージ内テンポラリフォルダへのアクセスが多くなる”ことを考えると、SSDならではのレスポンスのよさが当然生かされることになる。今後導入するビジネスPCにこそSSDを勧める理由が分かっていただけただろう。
CPUにやや上位のCore i5-520Mを選択したのも、ビジネスのためだ。新Core iシリーズは“AES-NI”という暗号化処理を高速化する命令をサポートするが、Windows 7ではこの命令にいちはやく対応したため、Windows 7標準のHDD暗号化機能である“BitLocker”をはじめ、同じくOS標準の暗号化APIを利用した暗号化復号化処理が高速化できるメリットがある。セキュリティ管理のシビアなビジネスシーンでは有用な場面が多々あるだろう。ちなみに、このAES-NIはCore i3-330MやCeleron P4500などの廉価版CPUでは省かれている。
CPUにセキュリティ関連処理を高速に処理できるCore i5以上を搭載し、大容量で低速なHDDの代わりに小容量の高速なSSDを搭載した構成は、クラウド時代のビジネスクライアントPCに最適な構成なのである。
最後に、今回の評価機におけるベンチマークテストを実施しよう。今回はCore 2 Duo SU9400を搭載した典型的なCULVノートのスコアも併記したので参考値としてみてほしい。
ベンチマークテスト | Endeavor NJ3300 (評価機) |
CULVノートPC (Core 2 Duo SU9400搭載) |
|
---|---|---|---|
PCMark05 | CPU | 7417 | 3799 |
Memory | 6314 | 3760 | |
Graphics | 2964 | 1436 | |
HDD | 24577 | 4915 | |
PCMark Vantage 1.0.1.0 | PCMark | 9872 | 3083 |
Memories | 4785 | 1888 | |
TV and Movies | 3994 | 2280 | |
Gaming | 6979 | 1695 | |
Music | 10957 | 3603 | |
Communications | 10203 | 3198 | |
Productivity | 12670 | 2645 | |
HDD | 21682 | 3241 | |
3DMark06 1280×1024ドット |
3DMarks | 1937 | 736 |
SM2.0 | 586 | 232 | |
HDR/SM3.0 | 787 | 286 | |
CPU Score | 2818 | 1332 | |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 |
Low | 3670 | 2463 |
High | 2363 | 1694 | |
Windowエクスペリエンスインデックス | プロセッサ | 6.7 | ─ |
メモリ | 5.9 | ─ | |
グラフィックス | 4.5 | ─ | |
ゲーム用グラフィックス | 3.9 | ─ | |
プライマリハードディスク | 7.6 | ─ | |
Windows 7標準のエクスペリエンスインデックスは、ゲーム用グラフィックスのみ3.9といまひとつのサブスコアだが、ビジネス向けをターゲットにしたPCだけに特に気にする必要はないだろう。それより、SSDを搭載するためプライマリハードディスクのサブスコアが突出している。
PCMark05、PCMarkVantageでもHDDスコアは圧倒的で、SSDの効果をまざまざと見せつけてくれた。また、HDD以外のスコアもかなり強力で、CULVノートPCをあらゆる面で圧倒した。PCMarkVantageの「PCMark」および「Communications」テストには前述したAES-NIに対応した暗号化復号化処理が含まれており、ここではよりいっそう大きな差が付いていることから、AES-NIの効果を裏付ける結果となっていることも分かる。これを含めた総合的な結果から、Windows 7環境において、単に「快適」というレベルを大きく超える操作感が得られるのは間違いない。
3D系のベンチマークテストはそれほど優れたものではないが、それでもCore 2 Duo SU9400とIntel GS45 Expressチップセットの組み合わせとなる比較PCを大きく上回っている。こういったCULVノートPCで動作に少しストレスがあるゲームなら、快適に楽しめるようになる性能は持っているといえる。
性能だけでなく、静音性も快適だ。アイドル時や低負荷時は静かな部屋でもほとんど分からない程度の動作音しかせず、実に快適だ。CPUに大きな負荷をかけた時はそれなりの風切り音がするが、それでも本体正面から5センチの距離で測定しても38デシベル(暗騒音は29デシベル)で、「そういわれてみれば、聞こえるね」という程度だ。発熱の処理も十分である。室温26度の室内で高負荷のベンチマークテストを実行した後も、ボディのどの部分も35度以内で、不快に感じるほど熱を持つ部分はなかった。
NJ3300は据え置き利用を前提とするPCではあるが、バッテリーでもそこそこ長時間動作する。電源オプションを「バランス(ディスプレイの輝度40%)」に設定し、バッテリーベンチマークソフト「BBench1.01(海人氏作)」の有線LAN/60秒間隔Webサイト巡回/10秒間隔キーストロークで動作時間を計測したところ、約4時間17分動作したところで残り5分の表示のまま休止状態へ移行した。オフィスでの会議を想定して無線LANを使用しなかったこと、そしてSSDの省電力などが効いたのか、公称値より長く動作した。これだけ動作するなら、たいていの会議や打ち合わせでも安心だ。
Endeavor NJ3300は、かなり高いPCとしてのパフォーマンスと静音性、そしてビジネスシーンでの使い勝手に優れたノングレア液晶ディスプレイやテンキー付きキーボードなどの装備など、ビジネス向けPCとしての利用シーンにジャストフィットする。加えて、業務効率が非常に高まるSSDを選択できるのが特にうれしいポイントだ。
ちなみに、NJ3300は基本構成例で5万4600円から。豊富なBTOメニューにより、今回の評価機のようなコストパフォーマンスの高い構成から、初期コストを抑えつつも短納期で一括導入したいという企業内ニーズなどにも対応できる、非常に万能なビジネスノートPCといえるだろう。
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