NASキット導入で気をつけたいHDD選びのポイント「NAS専用」はダテじゃない(2/2 ページ)

» 2014年09月30日 10時00分 公開
[ITmedia]
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NAS専用として設計された「WD Red」

 WD Redは、NASでの利用を前提としたモデルだ。同様のモデルに「WD Se」や「WD Re」があるが、こちらはデータセンターでの利用を想定したエンタープライズモデル。単価もかなり高い。

 それに対して、WD Redは8ベイまでのRAID構成を対象とした、個人〜SOHO向け製品であり、比較的安価な価格設定となっている。ここでは同じウェスタンデジタルのデスクトップPC用普及モデル、WD Greenと比較しながら特徴を見ていく。

NAS専用設計をうたうウェスタンデジタルの「WD Red」シリーズ

1、連続稼働

 WD Redは24時間365日の連続稼働を前提として品質が保証されている。MTBF(平均故障間隔)は100万時間。これはのべ100万時間の稼働で平均1回の故障を意味し、標準のデスクトップドライブより35%高い。製品保証もWD Greenの2年間に対して3年間と長く設定されている。

 動作可能な温度は0〜65度。WD Greenの上限よりも5度高く、より高温環境でも正常に動作する。消費電力は省電力タイプであるWD Greenと同じ、読み取り/書き込み時5.3ワット、アイドル時3.4ワットだ(6Tバイトモデルの場合)。

2、振動対策

 WD Redの振動対策はいくつも用意されている。自身の振動やノイズを最小限に抑える「3D Active Balance Plus」は、拡張デュアルプレーンバランステクノロジーにより、プラッタの偏りから発生する振動とノイズを最小限のレベルに低減。また、隣接するHDDの振動の影響を削減するRAFF(Rotary Acceleration Feed Forward)が搭載されている。

 さらにリアルタイムでヘッダの浮上高さを調整し、振動による磁気ヘッダへの悪影響を軽減する動的フライハイト技術にも対応している。振動しない、外部からの振動の影響を減らす、影響を受けてもヘッダでさらに削減する、と、振動に対する対策の念の入れようはさすがNAS専用といったところだ。なお、WD Redでは8ベイまでのNASでの利用が推奨され、それ以上の用途には上位シリーズである「WD Red Pro」が用意されている。

回転振動を低減するRAFFのブロックダイアグラム

3、RAIDコントローラ対応と互換性

 TLER(Time Limit Error Recovery)は、HDDがリカバリを途中で切り上げてRAIDのリカバリに委ねる機能だ。デスクトップPC用ドライブの場合、ディスクに障害が発生すると自動的にリカバリを行う。その結果、応答が途絶えてしまい、RAIDコントローラから「障害ドライブ」として構成から落とされてしまう。WD Redではこうした自体を回避できる。

TLER(Time Limit Error Recovery)の概念図

 また、WD RedはNASキットとの互換性が非常に高い。そのうえ、実際に検証を行い、互換性の“お墨付き”を与えているNASキットシリーズもかなりの数にのぼる。

 さらにこうした信頼性の高さから、キットではないNAS製品、つまり外付けHDDに組み込まれた状態で販売されていることも多い。例えば、アイ・オー・データ機器の製品はほぼ100%がWD Redへの切り替えが完了し、出荷前の自社検証で歩留まりがよくなったそうだ。

 これらのNAS専用の特性を実現しているのがWD Redに搭載されているファームウェア「NASware3.0」である。NASからHDDに求められる振る舞いを高い水準で実現でき、さらに各社NASキットとの互換性を積極的にとるよう、検証・フィードバックが続けられている。

実はコスト面でも有利な「WD Red」、これを選ばない手はない

 エンタープライズ用途ではデータの価値もさることながら、多数のユーザーの同時使用、頻繁なアクセスなど、過酷な利用環境を前提とした品質が求められる。一方、家庭用やSOHO用では利用環境こそ穏やかであるものの、かけがえのない思い出のデータや事業の存続に直結するデータなど、そのデータの価値自体は軽視できるものではない。今まではNAS用HDDといえば、高価でオーバースペックなエンタープライズ用製品を使うか、安価なデスクトップPC用製品を転用するかのどちらかしかなかった。

 確かにWD Redは、普及品であるWD Greenに比べると実売で2割弱ほど高価だ。だが、その実態はWD Greenの2倍以上の価格であるエンタープライズ向けシリーズWD Seの信頼性を踏襲しつつ、家庭用/SOHOでの利用形態にフォーカスしたモデルである。つまり、家庭向けにはオーバスペックとなるマージンを見直し、そのうえでWD Greenの省電力性や静音性をも実現した、まさに家庭向けNASに最適のシリーズになっている。

 しかも、HDDは継続的に利用するデバイスだ。5年間使ったとすると、WD RedとWD Greenを比較した場合、1日あたりの差額はわずか2.4円。保証期間の2倍を使用期間として考えれば、WD Greenは1日あたり17.3円(6Tバイトモデル「WD60EZRX」/2万5311円で換算)、WD Redだと1日あたり13.6円(6Tバイトモデル「WD60EFRX」/2万9708円で換算)となり、なんと逆転してしまう。

 これからNASキットの導入を考えている人は、NASのためにデザインされたWD Redで、安全かつハイパフォーマンスなデジタルライフを楽しんでほしい。


“赤”だけじゃない、ウェスタンデジタルの用途別HDD

 今回紹介したNAS専用シリーズWD Redのほかにも、ウェスタンデジタルには色名のついたシリーズが複数ある。用途に合わせて適切なシリーズを選択しよう。

WD Blue

 デスクトップPC用のスタンダードシリーズ。大容量を必要としない用途を想定しており、執筆時点でのラインナップは80Gバイト〜1Tバイトまで。現行で唯一のIDE/SATA両モデルを揃えるシリーズ。

WD Green

 環境を重視し、かつ低価格。低温・静音動作、省電力を実現しつつ、6Tバイトまでの大容量モデルもそろえたデスクトップPC自作派の定番シリーズ。

WD Black

 パフォーマンスを重視したゲーム・クリエイター向けデスクトップPC用シリーズ。回転数固定(7200rpm)で内部転送速度が14%高速(WD Greenと同一容量で比較)。保証が5年と長いのも特徴。

WD Purple

 監視データ用ストレージシリーズ。継続的に書き込みが発生する監視装置のストレージとして最適化されており、振動対策、低消費電力、3年間の製品保証といった特徴がある。

WD Red Pro

 WD Redの上位シリーズ。8ベイまでのNASを推奨しているWD Redに対し、WD Red Proは8〜16ベイに対応する。保証期間も5年に延長されている。


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