VRの未来を見据えて――担当者が語る「LITTLEGEAR」に込めた情熱開発にかけた時間はほぼ2倍(2/2 ページ)

» 2015年12月07日 10時00分 公開
[ITmedia]
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「小さくて高い」の常識を覆す努力

杉澤 従来からあるMicro ATX製品「NEXTGEAR-MICRO」と同じ5万9800円からという価格を実現するためにもかなり努力しました。PCって、本体サイズを小さくしていくと、往々にして値段が上がっていくものですよね。

―― それは小型化のコストがかかりますから。

杉澤 メーカーの側からすれば「そりゃそうでしょう」という話ですが、ユーザーの立場から見たときに「小さいから高いのは仕方ない」というのは普及にブレーキをかける要因になるとも考えました。

 Mini ITXのマザーボードを採用するLITTLEGEARは、NEXTGEAR-MICROよりも明らかにコストがかかるのは分かっていました。しかも「全グラフィックスカード搭載」などのこだわりも維持したい。しかし、価格は抑えたいという命題があった。

―― どうやって価格をさげたのでしょうか?

LITTLEGEARの開発を担当した小林俊一氏

小林 まず電源ユニットはATX向けの汎用部品を使っています。性能がよく、コストも低く、実績があって信頼性の高いものです。

杉澤 小型化するうえで、スモールフォームファクター向けに独自仕様で立ち上げようとすると、どうしても価格に跳ね返ってきてしまう。そこで、その部分に関しては弊社全体で採用している電源を使って、専用部材化しない方針です。

小林 また、搭載しているマザーボードも、特殊仕様ではないのでコストを下げられます。オーバースペックを避けて、5万9800円を維持するために、H110だけでなくH81のチップセットを採用するラインアップも用意しました。ほかにも需要の減っている光学ドライブをオプションとすることで、必要十分でかつリーズナブルにお客さまに提供できるようにしています。

―― 発売後にはどんな反響がありましたか?

杉澤 発売後、すぐに「買った」という反応が個人様からも法人様からももらえたのがありがたい限りです。それこそTwitterのダイレクトメッセージで送ってきてくれるぐらいにすぐの反応でした(笑)。

―― 当初の狙い通り、きちんとOculus開発者にとどいた形ですね。

杉澤 そうですね。実際の売上も予想より伸びている傾向にあります。

 さらにLITTLEGEARは、Oculus用途として開発してますが、ゲーマー向けにも問題を解決してくれる要素があると思っています。日本の家は海外に比べて狭いことが多く、どうしてもPCの設置スペースに制限が出てきてしまう。その点、省スペースながら超ハイエンドのグラフィックスカードも搭載できるLITTLEGEARならぴったりです。

―― そういえば、G-Tuneブランドはe-Sportsにも力をいれてましたね。

杉澤 今年はストラテジーゲームの日本大会「LEAGUE OF LEGENDS JAPAN LEAGUE 2015」にも協賛して、オフィシャルPCを提供しました。スペックが高いことは大前提ですが、さらに競技用PCとして少しの遅延も許されないシビアな環境でも問題なく使えるという信頼性を評価して頂きました。

 今後もe-Sportsを支援していくにあたって、ハンドル付きのLITTLEGEARは、ユーザー同士がPCを持ち寄って遊ぶ「LANパーティ」などにも活用できると思います。

ハンドルで持ち運べるのも特徴の1つ

―― 今後はどんなPCを開発していきたいでしょうか?

杉澤 実は超ハイエンドのほうも視野に入れています。今年の春に行われた開発者向けイベント「Build 2015」などでスクウェア・エニックスさんが披露したDirectX 12を使った技術デモ「WITCH CHAPTER 0[cry]」では、GeForce GTX TITAN Xを4枚挿しした「4way SLI」でリアルタイムでCGをレンダリングしていました。

 G-Tuneでも数年前までは3way SLIの製品も扱っていましたが、そこまで使うシーンがなかったので、現在のラインアップは2way SLIまで減らしています。4way SLIは、正直、何に使うんだろうと思っていましたが、先々にはリアルタイムCGレンダリングのニーズも出てくるだろうと。

 特にVR HMDでは、高いフレームレートで、右目用と左目用の2枚の画面を描画しなければならないので負荷が高い。現状のOculus RiftではSLIが使えませんが、今後、対応していかないわけがないでしょう。VRでも、よりリッチな環境を求める人々も出てくると思います。

―― ニーズを先読みしたスピード感ある製品開発なんですね。

杉澤 スピード感はG-Tuneの重要なポイントだと思ってます。「すべてはゲーマーのために」というスローガンを掲げるPCメーカーとして、いかにユーザーの方々に未来を感じてもらえる製品を提供できるか、そこを大切にしています。

 その一方で、あくまでもコンシューマー向け製品ですので、CPUにハイエンド向けの「Xeon」を2つ乗せて、PCI Expressのレーンが全部x16で……みたいなオーバースペックにはしたくない。いかにユーザーニーズとコストパフォーマンスを意識してやっていけるかが重要だと考えています。今後もぜひG-Tuneが作るPCに期待していてください。


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2015年12月20日