40型4K曲面ディスプレイで映像制作が変わる!プロの現場で活躍するフィリップスディスプレイ(1/2 ページ)

映像制作会社「studio GOONEYS」でフィリップスの4K曲面ディスプレイ「BDM4037UW/11」が活躍しているという。プロの現場を取材した。

» 2017年03月31日 10時00分 公開
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 フィリップスといえば、シェーバーや電動歯ブラシ、コーヒーメーカーなどが有名だが、映像分野でも高い技術力を持った企業として知られている。特にAV関連の事業は数年前から再び力を入れて始めており、往年のファンを期待させている。

 そんなフィリップスの製品で最近注目を集めているのが、今年1月に発売した40型の4Kディスプレイ「BDM4037UW/11」だ。これまでにも同社は40型以上の4Kディスプレイを数モデル開発しているが、これらの製品と大きく異なるのは曲面パネルを採用している点だ。

曲面パネルを採用した40型4Kディスプレイ「BDM4037UW/11」

 平面パネルで40型を超える大画面の場合、あまりディスプレイと使用者の距離が近すぎると、視野角の関係からパネル周辺と中央の色味の違いが目立ってしまう。一方、距離を取れば周辺と中央部の色差は目立たなくなるが、大画面がもたらす迫力や臨場感が損なわれる。これが曲面パネルだと、周辺部も中央部も観測点からの角度、距離はほぼ均一になるため、わざわざディスプレイまでの距離を離す必要がなくなる。40型の迫力と4Kの緻密な描写を余すことなく堪能できるわけだ。

 この新しい曲面パネルを採用したモデルは、映像ファンやゲーマーにとって垂涎のディスプレイといえる。無論、ホビー層だけでなく、映像コンテンツの制作現場などでも活躍できるだろう。

 そこで、今回はBDM4037UW/11をいち早く作業現場に導入した東京中野の映像制作会社「studio GOONEYS」を訪れ、製品のインプレッションを伺った。インタビューに応じてくれたのは、映像制作の現場では“最後の砦”ともいえるコンポジッターの宮崎友真氏だ。

「BDM4037UW/11」を導入した映像制作会社「studio GOONEYS」の宮崎友真氏に使用感を伺った

「何よりも迫力が違う」――40型曲面パネルの臨場感に驚く

―― まずはstudio GOONEYSの業務内容について簡単に教えてください。

宮崎 会社の主な業務は、3DCGを用いた映像の制作ですね。CGを使った作品であれば、実写、アニメ、フル3Dまで広くやっています。コンテンツの種別では、ゲームからCM制作、映画まで何でもやるという感じです。

 また、作業内容もモデリングやアニメーション制作など多岐に渡るのですが、私の担当するのは、最後にそれらの作業データを集めて、全体を統合していくのがコンポジッターという役割になります。

studio GOONEYSでは実写、フル3D問わずCMや映画など数多くの映像を手がけている

 例えば、CGと実写を合成する場合ですと、実写のイメージは黒が少し浮いているのが普通なんですね。一方、CGの場合だと、カメラのセンサーを通していないので、本当に純粋な黒が出てしまう。これを単純に合わせるとなじまずに違和感が生じてしまいます。

 そこで階調や色温度を合わせてしっかりとなじませる、場合によってはリテイクをお願いして作品を仕上げる役割になります。そうした作業のほかに、工程としては社内での最後の作業になりますので、各要素のチェックも厳しく行う必要があります。このため、PCもディスプレイも他の人が使用しているよりも良い製品を使わせてもらってます。

宮崎氏は映像の総仕上げを行うコンポジッターを務める
(c)2012, 2017 SANRIO CO., LTD.  SHOWBYROCK!!製作委員会

―― ディスプレイの性能が求められるポジションなわけですね。その宮崎さんの目から見て、BDM4037UW/11はいかがでしたか?

宮崎 率直に言って、何よりも印象深いのは40型の迫力でした。これまでは27型のディスプレイをメインに使っていたのですが、まさに段違いの体験です。パネル面が曲面なので映像に包まれるといった臨場感が良いですね。ラウンドしていることで視線移動も減りました。うれしくなって、色々な4K映像コンテンツを視聴してしまいました(笑)。

 この映像体験というのは、もちろん視聴する側に立っての意見ですが、制作する側としても大いに刺激を受けました。コンテンツの種類にもよるでしょうが、映像作品を視聴される方は、劇場のスクリーンあるいは家庭用の大型TVで視聴するケースも多いでしょうから、大画面や曲面ならではの演出手法もあるのかな、と考えるきっかけになりました。

40型曲面パネルは臨場感が高いと絶賛
(c)2012, 2017 SANRIO CO., LTD.  SHOWBYROCK!!製作委員会#

―― 大きな画面サイズによる存在感は静止画、動画を問わず無視できませんからね。映像制作者として感じたメリット、デメリットはありますか?

宮崎 そうですね。これまでのディスプレイですと、大きなパネルになるほど、どうしてもパネル周辺でのコントラスト低下が気になってしまうのですが、BDM4037UW/11は曲面パネルのせいか、さほど気にならなくなりました。周辺部の確認作業が不要とまでは行きませんが、かなり労力は減りましたね。

 あと、これは一般的ではないでしょうが、立体視用コンテンツを制作する仕事をしたときに、このテストですごく良い結果が出たんですよ。赤色と青色のアナグリフと呼ばれている手法ですね。これに適したディスプレイがなかなかなくて難儀をしていたのですがBDM4037UW/11に表示すると、すんなりと立体に見えました。画面が大きくて、劇場と同じようにラウンドしているからでしょうか。

4K解像度は作業領域が広く、ウィンドウを切り替えるストレスがないため作業効率も向上したと語る宮崎氏

宮崎 ほかには曲面の話からは離れますが、何より作業領域が広い。前までは2つのディスプレイやウィンドウにわけて作業しなければならなかったことが、1台のディスプレイに集約できてしまう。一度に表示できることはもちろんですが、アプリやウィンドウの切替操作も不要になったのは大きいです。今までは当たり前に行っていた操作でしたが、それが不要になって初めて「面倒なことをしていたんだなあ」としみじみ思いました。

―― 逆に曲面になったことで違和感はありますか?

宮崎 そうですね……。周辺歪みがレンズディストーションによるものなのか、それともパネルのわん曲から感じるものなのかが判断しにくいケースはありました。もっとも、これはショートカット1つでグリッドを表示させれば分かることなので作業の支障というほどではありません。曲面を初めて使ったら一瞬とまどう、くらいのものでしょう。

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