今回は実際にiCUE LINKを組み込んで、本当にかんたんキレイに仕上がるのか確かめてみた。使用した機材は以下の通り。ホワイトのiCUE LINK対応デバイスに合わせ、ホワイトのパーツを中心に組んでみた。
【使用機材】
部品 | 型番 |
---|---|
CPU | Intel Core i9-14900K |
マザーボード | ASUSTeK ROG MAXIMUS Z790 FORMULA(Intel Z790) |
メモリ | Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB(DDR5-5600、16GB×2枚、CMT32GX5M2B5600C36W) |
ストレージ | Corsair MP600 PRO LPX White PCIe Gen4 x4 NVMe M.2 SSD 1TB |
グラフィックスカード | ASUS Dual GeForce RTX™ 4070 White OC Edition 12GB GDDR6X |
電源 | Corsair RM850x Shift(850W、80PLUS Gold) |
ケース | Corsair 4000D Airflow Tempered Glass White(E-ATX対応、ミドルタワー) |
ケースファン | Corsair iCUE LINK システムハブ付き iCUE LINK QX120 RGB 120mm PWM PC ファン スターターキット(12cm角×3) |
CPUクーラー | Corsair iCUE LINK H150i RGB(36cmラジエーター) |
今回試用したケース「4000D AIRFLOW」はミドルタワーだが、上位の5000Dシリーズと比べると奥行きが短い。ファンの搭載数は最大6基で、このサイズでは標準的だが36cmクラスのラジエーターを搭載できるのは前面のみだ。
iCUE LINK H150i RGBを前面に、iCUE LINK システムハブ付き iCUE LINK QX120 RGB 120mm PWM PC ファン スターターキットの3基のファンは、上面2基、背面1基といったレイアウトを採用した。4000D AIRFLOWには標準で前面1基、背面1基の12cm角ファンを搭載しているが、これは置き換える形になる。
背面ファン1基と上面ファン2基については、付属する2本のiCUE LINKケーブルのうち短い135mmのケーブル(両端90度アングル)で接続した。やや固めのケーブルなので角の部分にうまく沿い、側面からはほとんど露出しなかった。そして、上面ファンの反対側の端にあるiCUE LINKポートにもう一つの600mmケーブル(片側90度アングル)を接続し、ケースのケーブルホールから裏面に引き込み、iCUE LINK システムハブと接続した。
簡易水冷CPUクーラーの「iCUE LINK H150i RGB」は、4000D AIRFLOWと組み合わせる場合、多少手間がかかる。本旨とは関係ない、かつ一つは36cmクラスの簡易水冷全般にいえることだが少しだけ触れておこう。
まずiCUE LINK H150i RGBは標準でラジエーターにファンが搭載された形で出荷される製品だ。標準では排気方向に装着されているので、例えば上面に装着する場合はそのまま、ファンを装着する手間なく搭載できる。ただ、今回は前面に置いて吸気として利用したいので、ファンを装着し直している。
次に、iCUE LINK H150i RGBの前面部は36cmクラスの簡易水冷CPUクーラーに対応しているのだが、装着手順がある。36cmクラスの簡易水冷CPUクーラーを装着する場合、まず電源カバー部に装着されている小さなパネルを外す。前面パネルと電源カバーの間のスペースが広がるので、ラジエーターとファンを搭載可能になる仕組みだ。そしてここが肝心だが、「ラジエーターにファンを搭載した状態では組み込めないことがある」。ただ、ここで説明する手順で行えば装着できるようになる。
4000D AIRFLOWにiCUE LINK H150i RGBを組み込む場合、あらかじめ3.5インチシャドーベイをケージごと取り外しておく。ケージは後部側のネジを外し、前方にスライドさせることで取り外し可能だ。続いてファンを装着していない状態のラジエーターを前面パネルに装着、固定する。ファンを外した状態ならば、先ほど作ったスペースで問題なく挿し込める。
この状態からファンを挿し込み、固定して完成だ。参考までにiCUE LINK H150i RGBのラジエーターは長さ397mm、厚み27mmなので、特に大きすぎたり厚すぎたりはしない標準的なサイズである。
上位の5000Dシリーズは電源カバーがもう少し大きく取り外せる仕様かつ、上面も36cmクラス対応なので苦労しないと思われる。コンパクトな4000D AIRFLOWで組みたいという方向けのTipsだ。多少めんどうだが、組み上がってしまえばiCUE LINK H150i RGBと電源カバーの間のスペースも最小の1cmほどで、これにより一体感が生まれて美しく見える。
さて、iCUE LINK H150i RGBのiCUE LINKケーブルの配線について説明しよう。iCUE LINK H150i RGBのラジエーター上端(フィッティングがある側)には、iCUE LINKポート×2とUSB Type-Cポート(このポートは将来出る製品のためのようだ)がある。
iCUE LINKポートのうち1つはiCUE LINK システムハブや、他にiCUE LINKデバイスがある場合に使うアップリンクポートだ。今回は600mmケーブルを用いてiCUE LINK システムハブに接続した。もう1ポートはラジエーター上のファンに接続する。
この際、ファンの向き(吸気排気の向きではなく180度、360度の向き)に注意したい。向きによってはフィッティングによってポートが隠れてしまうからだ。
スターターキットのiCUE LINK QX120 RGB 120mm PWM PC ファンのフレームをよく見てほしい。片側が接点のあるポート、もう片側はただのダミーである。ファンを連結した状態でも、その時のポートが右にあるなら末端まで右側にポートが並ぶ。左だったら末端まで左側がポートになる。ラジエーターにファンを当ててみた時、フィッティングによってポートが隠れてしまうようなら、ファンの向きを180度回転すれば、先ほどまで右にあったポートが左に来るので問題なく接続可能になる。
多少、手順説明が入ったが、一つは4000D AIRFLOW固有の作法、もう一つは製品をよく見れば気付くことだ。今回の作例の4000D AIRFLOW+iCUE LINK H150i RGBという組み合わせを気に入ったとして、もし万が一、行き詰まった時は本稿を思い出していただければ幸いだ。
ケース左側から見た際の見え方、右側の裏面配線の見栄えも写真でご覧いただこう。左側板側から見た内部の様子はかなりスッキリしている。ほぼ真横、水平状態での写真なので、背面、上面ファンを接続するiCUE LINKケーブルも若干見えるが、本当に若干だ。これがPWMケーブル、ARGB LEDケーブルの2本だったら、例えホワイトケーブルでももう少し目立ってしまったはずだ。
iCUE LINK H150i RGB側も、配線ケーブルはほとんど見えていない。チラッと見える白いヒラヒラは紙タグで、実際に購入した方は取り外して構わないものだ。むしろその上の黒いフロント端子用ケーブルの方が目立っているだろう。
そしてiCUE LINK H150i RGBについてはもう一つ“推し”がある。水冷ヘッド部分をよく見ていただきたい。通常ならポンプ用の電源ケーブルやARGB LED用ケーブルがあるのだが、iCUE LINK H150i RGBはチューブを通じてラジエーター側に通しているため、この部分にケーブルがなくとてもスッキリしている。
右側板側、裏面配線スペースは下の写真の通りだ。通常のファンやLEDで用いられるフラットとはいえ、曲がりグセの付きやすい、バラけやすいケーブルと比べればスッキリ配線できているように感じる。
先の通り、今回は背面+上面ファン、iCUE LINK H150i RGBで2系統に分けて配線した。iCUE LINK システムハブをどこに装着するかで悩んだが、比較的広い面積があるのは2.5インチシャドーベイ(1基取り外す必要がある)部分か、前方のフレーム部分、あるいは3.5インチシャドーベイケージを外した場合はそこになると思われる。今回は外すということを避け、製品標準に近い場所として前方フレーム部に装着してみた。
ハブの向きに制約が生じたのでCorsairロゴが左を向いているが、そこは大目に見ていただきたい。いくつかフレームに穴があるのでそこにケーブルタイを通してケーブルをまとめられ、折返しがあるのでケーブルをうまく収納できている。
一応、気づいた点を挙げておくと、iCUE LINK システムハブが電源としてPCI Express 6ピン補助電源端子を用いている点を考慮しておくべきと感じた。
PCI Express 6/8ピンの数は組み合わせる電源次第で決まる。今回のRM850x Shiftの場合、プラグインコネクターはCPU(EPS12V)とPCI Express 6/8ピン共有で5ポート、そのうちCPUが2ポートを使用し、仮にグラフィックスカードを搭載するとさらに2ポート、残り1ポートをiCUE LINK システムハブで使用するイメージだ。
しかし、実はマザーボードのROG MAXIMUS Z790 FORMULA上には、グラフィックスカードをより安定動作させるためのPCI Express 8ピン端子が備わっている。ハイエンドマザーボードでよく見られるものだ。仮にこれを接続するとなると、RM850x Shiftの5ポートでは足りなくなる。仮に同様の状況になった際は、「SATA(ペリフェラル)→PCI Express 6ピン変換ケーブル」などを利用するのがいいだろう。
消費電力が大きいグラフィックスカード用にこうした変換ケーブルを利用するのはリスキーだが、iCUE LINK システムハブはポンプや最大でも14基のファンとLEDを制御する程度なので電力的なリスクはないはずだ。
もう一つ、ケースにファンを固定する際、連結した全体の対角2箇所を止めるだけで位置決めができて簡単だった。一つ一つを装着していくと、仮止めだけで6箇所あるというだけで手間だし、本締め時にわずかなゆがみが生じた際、そこが気になってまた矯正の手間がかかることもある。ここも連結できるファンが「よかった」と感じた点だ。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2023年12月14日