南足柄市の自治体DX“書かない窓口”を便利にしたエプソンダイレクトのタッチパネル液晶一体型PC 導入のきっかけは?

神奈川県南足柄市は、市役所の市民課/福祉課といったカウンターに新しい窓口端末を設置。以前に比べ、対応時間の短縮や業務効率化を実現したという。

» 2025年03月25日 10時00分 公開
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 神奈川県南足柄市は、市役所内の市民課/徴収課/福祉課に新しい窓口端末を設置している。端末にはタッチパネル対応ディスプレイと小型PCを組み合わせたエプソンダイレクトの「タッチパネル液晶一体型PC ドッキングスタンドタイプ」(Endeavor JS55-A)を採用し、2in1 PCを利用していた以前に比べ、対応時間の短縮や業務効率化を実現した。

photo 南足柄市役所の窓口に設置されたエプソンダイレクトのタッチパネル液晶一体型PC ドッキングスタンドタイプ」(Endeavor JS55-A)

“窓口端末”の刷新に着手した南足柄市

 南足柄市は、神奈川県西部/箱根外輪山の北東に位置する基礎自治体だ。市内最高峰の金時山は、坂田金時(金太郎)ゆかりの名峰であり、同市は「金太郎のふるさと」として広く知られている。森林が市域の約7割を占めるという豊かな自然と恵まれた水資源により、全国水源の森百選(林野庁)や水の郷百選(国土交通省)にも認定されている。

photo 足柄峠からの風景(左)、「春木径」(はるきみち)と呼ばれる、狩川沿いにある桜の名所(中央)、金太郎が産湯をつかった滝ともいわれる「夕日の滝」(右)

 そんな南足柄市では、持続可能な街づくりを目指した自治体DXに取り組んでいる。近年は市民の利便性向上や行政サービスの効率化を目的に、市役所のシステム刷新や行政手続きのオンライン化など、いわゆる“自治体DX”を推進してきた。

photo 南足柄市役所

 「南足柄市では、自治体DXのコンセプトである“書かない窓口”の実現に向けた取り組みを進めてきました。市役所来庁者が訪れる窓口カウンターに端末を設置し、画面上で入力/確認しながら接遇するという仕組みを運用しています」──そう説明するのは、同市役所の長谷川誠氏(企画部企画課長補佐 兼 情報統計班長)だ。

 来庁者が、申請書に記入し窓口に提出するという従来のやり方ではなく、職員が窓口でヒアリングしながら、画面上で記入と手続きを進めるというやり方だ。

 こうしたやり方を実現するための窓口端末には、これまでタブレットとノートPCが一体化した2in1 PCを採用していた。しかし、使い勝手や見た目に課題があったと長谷川氏は話す。

photo 南足柄市役所の長谷川誠氏(企画部企画課長補佐 兼 情報統計班長)

 「来庁者と職員の双方が1つの画面を使うので、その度にターンテーブルを動かして画面を反転させるという操作が発生していました。使い勝手に難があったのです。また、PC本体にはカードリーダーやスキャナーなどがUSBで接続されているため、ケーブル配線の取り回しも乱雑になって見た目が良くないところも気になっていました。さらに、持ち運び可能な2in1 PCの特性上、業務開始前にロッカーから取り出し、業務終了後にロッカーにしまうという手間がかかることも課題でした」(長谷川氏)

 こうした課題を解決するために、長谷川氏は既存端末のリースアップに伴って、窓口端末の刷新を検討した。そこで同市が採用している窓口システムの提供ベンダーに対し、代替機の提案を打診した。

 「ベンダーから提案されたのは、通常のノートPCへ置き換えるというものでした。これでは課題解決にならないと判断し、私たち自身で新しいPCを探すことにしました」(長谷川氏)

2画面搭載のドッキングスタンドタイプのPCに注目

 長谷川氏は新しい窓口端末に採用するPCとして以下のような要件を考え、これらに合った製品選びに着手したという。

  • 窓口カウンターの限られたスペースに設置可能な据え置き型PCであること
  • 来庁者と職員がそれぞれ同じ内容の画面を表示できる2台のディスプレイが本体に組み込まれていること
  • シンプルかつすっきりした見た目であること
  • 本体を動かさなくていいもの(据え置きできるもの)

 「他の自治体の事例を参考にしながら調べたところ、自治体向けの窓口端末が存在していることが分かりました。専用設計なので機能面は十分なのですが、非常に高額であることがネックになりました。そこで似たようなPCをWebで各社から探していく中で、エプソンダイレクトのEndeavorでコンパクトなPCを売っていたことを思い出しました。ディスプレイに(コンパクトなPCを)背負わせたら省スペース化ができると思って検索したところ、先に出た製品が目に留まりました」(長谷川氏)

 長谷川氏が見つけたのは、エプソンダイレクトのタッチパネル液晶一体型PC(ドッキングスタンドタイプ)だった。

 この製品は2画面のタッチパネル対応ディスプレイが搭載可能なスタンド型本体を採用しており、本体底部にはカスタマイズ可能なマイクロサイズのPCが格納されている。用途に応じてCPUの種類(Intel Celeron、Core i3/i5)やメモリ、ストレージ容量も選択可能だ。

 タッチパネル液晶ディスプレイには南足柄市が採用した15.6型の他、11.6型と21.5型のオプションも用意され、いずれも解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)を確保している。

photo 南足柄市役所の窓口に設置されたエプソンダイレクトのタッチパネル液晶一体型PC(ドッキングスタンドタイプ)

 製品の選定作業に着手した当時、既存端末のリースアップが間近に迫っていたこともあり、長谷川氏は南足柄市のデジタル関連業務を支援する株式会社ワイイーシーソリューションズ(横浜市)を通じ、急いでエプソンダイレクトに問い合わせたという。

 このとき、長谷川氏の相談に快く応じたのは、株式会社ワイイーシーソリューションズの高橋英二氏(※)(公共社会ソリューション事業部 ソリューション営業ユニット 主任)だ。

 「エプソンダイレクトに問い合わせてみると、Endeavor JS55-Aは部品改良の途中で出荷停止していたのですが、南足柄市の導入意向を伝えて交渉したところ、エプソンダイレクトから従来機種のデモ機を貸し出してもらえることになりました」(高橋氏)(※高ははしごだか)

 デモ機が届くとすぐに、長谷川氏は製品仕様やデザインをチェック。全ての要件を満たす製品であることを確認した上で導入を決断した。

photo こだわりを持って機種を選定した長谷川氏

 「導入の決め手は、OSにWindows 10 IoT Enterprise LTSCが採用されていたことです。南足柄市では新しい窓口端末の利用期間を6年と想定していたため、最長7年まで選べる保守サービスから6年保守を採用しました。この間もサポート期間が継続するWindows 10 IoT Enterprise LTSCが稼働するエプソンダイレクトの製品は、まさにピッタリでした。価格面でもかなり魅力的でしたね」(長谷川氏)

市民課などに4台の新窓口端末を初期導入

 Endeavor JS55-Aの導入を決めた長谷川氏は早速、新しい窓口端末に必要な周辺機器の接続/動作検証や設置場所の検討を行った。

 「来庁者が操作しやすくすっきりした見た目の窓口端末を実現するために、マイナンバーカードを読み取るカードリーダーを製品の台座部分に設置したり、本体用と2台のディスプレイ用の合計3個のACアダプターを職員側のディスプレイ下に固定したりしました。また、来庁者側の画面が背後から見えないように、ディスプレイにプライバシーフィルムを貼り付けた他、窓口端末周辺にある待合場所の座席レイアウトを変更しました」(長谷川氏)

 さらに長谷川氏は、3Dプリンタを利用して電源スイッチの補助ボタンを自作し、窓口端末の本体内部に組み込むという工夫も行った。本来はディスプレイの電源スイッチとPC本体の電源は連動しているので不要ではあるが、長谷川氏が自作した赤い樹脂製のスイッチは、職員の電源オン/オフ作業を容易にしている。

photo PC本体の電源スイッチ補助ボタン。実は同様の役割を持つオプション品も用意されているが、長谷川氏は自前の3Dプリンタで自作した

 こうして新しい窓口端末の仕様を固めたのち、市民課、福祉課に設置していた合計3台の窓口端末を更新した。

 「その後、徴収課より窓口端末の利用希望があり、1台を追加で設置しました」(長谷川氏)

 窓口端末として設置されたEndeavor JS55-Aには、マイナンバーカード(または有効期限内の住民基本台帳カード)を読み取るカードリーダーに加え、運転免許証や健康保険証の印字面から住所/氏名などの情報を読み取るスキャナーが接続されている。これらを使うか、タッチパネルディスプレイの画面を使って必要な個人情報を入力していくだけで、申請に必要な書類が出来上がる。

 職員は来庁者と同じ画面を見ながら、書類作成に必要な情報を順番に入力するようにアドバイスしたり、場合によっては入力を手助けしたりする。

 「画面は高齢者でも見やすいように大きな文字やボタンで表示されています。ディスプレイの上下も容易なので、小柄な方にも使いやすくなっています」(長谷川氏)

photo タッチパネルで申請を進められる

接遇時間短縮や職員の業務効率化を実現

 新しい窓口端末は、来庁者の接遇時間短縮や職員の業務効率化といった効果をもたらしているという。

 「来庁者が申請に必要な書類を手書きで入力していたときはもちろん、既存端末で書類作成していたときと比べても、書類作成から受理に至る時間は確実に短縮しています。来庁者の待ち時間・接遇時間を短縮するという“書かない窓口”の目的を達成するという効果は得られたと考えています」(長谷川氏)

photo “書かない窓口”による効率化の例(クリックで拡大

 さらに職員の業務効率化にも役立っているとのことだ。

 「職員が来庁者に寄り添いながら、画面の順番に従って必要な情報を入力するため、入力漏れによる書き直しの手間が発生しなくなりました。また、業務を標準化したことで職員による属人性も排除されました。窓口端末の使い勝手も良く、既に実運用中の部署からも高く評価されています」(長谷川氏)

photo ACアダプターなどは来庁者から見えない位置に固定している

 長谷川氏によると、目下の課題は新しい窓口端末の導入部署をさらに広げることだという。

 「現在、こども育成課の窓口カウンターへの設置を進めていますが、当面は“書かない窓口”の実現に向けて手を挙げた部署から順番に導入していく予定です。ただし、部署によっては日々の多忙な業務に追われ、“書かない窓口”の必要性を認識しつつも窓口端末の導入に着手できない場合もあります。そうした部署から声が上がれば、積極的に支援していきたいと考えています」(長谷川氏)

 窓口端末の機能強化も計画中だ。長谷川氏はこども育成課への導入に合わせ、Webカメラを追加設置するという。

 「こども育成課では児童手当の申請などに利用することを想定していますが、同課には市民課で手続きを済ませた来庁者が多く訪れます。書類に入力する情報にも重複部分があるので、一度入力した情報を流用できるように二次元バーコードを発行し、それをWebカメラで読み取る機能がシステムにあるので、実装しようと思っています」(長谷川氏)

 このように新しい窓口端末を導入した南足柄市は、今後も自治体DXをさらに積極的に推進していく方針だ。

最新モデル「Endeavor JS60-A」が登場!


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南足柄市役所が導入したEndeavor JS55-Aの後継モデルとして、「Endeavor JS60-A」が登場しています。

 今回のような窓口端末において、エプソンダイレクトのタッチパネル液晶一体型PC ドッキングスタンドタイプの導入は、まさにうってつけといえる好事例といえるだろう。比較的に価格面でのメリットも大きく、最長7年まで選べる長期保守サービスも課題解決に大きく貢献している。同様の悩みを抱えているのであれば、エプソンダイレクトへ相談してみてはいかがだろうか。

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提供:エプソンダイレクト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2025年3月31日