2025年は小型液タブが豊作の1年でした。それにとどめを刺しそうなモデルが、XPPenの「Artist 12 3rd」です。プロイラストレーターのrefeiaさんに使ってもらいました。
こんにちは! refeiaです。
今日は11月にXPPenから発売された液タブ「Artist 12 3rd」をご紹介します。このArtist 12 3rdは、2021年に発売された人気モデル「Artist 12 セカンド」の後継モデルです。
同社の直販価格で2万9980円と、3万円を下回る圧倒的な低価格を守りながらさまざまな点がアップグレードされ、驚くほど上位モデルに近い描き味になっています。
それでは、この価格でどこまで“使える”のか、早速見ていきましょう。
まずは、本体とペンを見ていきましょう。本体は11.9型でフルHD(1920×1080ピクセル)表示に対応した広色域のディスプレイです。ボディー左側にある操作部は、8ボタン+2ダイヤルの豪華な構成です。難しい操作を覚えなくても、ブラシサイズやズームなどを利用できるダイヤルは、初心者には特に助かるデバイスです。
右側には接続端子と電源ボタン、輝度調節ボタンがあります。接続はUSB Type-C端子でシンプルです。USB Type-C端子からの映像出力に非対応のPCでは、付属の3つに分岐したケーブルを使ってHDMIで接続できます。
2種類のケーブルだけでなく、折り畳みスタンドや手袋などの豊富な付属品で、何も買い足さなくても快適に作業できる体勢が整います。
コンパクトに折りたためるスタンドは、展開すると16型ぐらいの大きさの液タブやノートPCにも利用できる頑丈さです
付属のペンは「X4スマートチップスタイラス」で、先代のX3系から進化した最新世代になっています。詳しく試用した結果は後ほど書きますが、上位モデルと遜色ない優れた描き味です。
このペンは本体上部に磁石でくっ付くようになっていて、ペンの置き場所に困らず、紛失しづらいです。iPadやAndroidタブレットではよく見かける仕様でしたが、試用している間、液タブでもやっぱり便利なんだなと実感しました。
ディスプレイもチェックしていきましょう。本製品のディスプレイは、空気層がないため鮮明に見える「フルラミネーション」と、フィルム式でないガラスのアンチグレア処理が施された、上位モデルと同様の仕様です。
また、低価格なモデルながら広色域なのもポイントです。公称スペックでは「99% sRGB/97% Adobe RGB/97% Display P3」をカバーしています。実際に手元で計測しましたが、Adobe RGBとP3系のどちらも公称通りの能力があり、これらの数値を目標に制作できるディスプレイでした。
これもまた、本来ならば上位モデルに求められる仕様で、初心者は初期設定(sRGB)のまま使うのをおすすめします。ですが、知識や使いこなしのスキルがついてきた頃には、より濃い色の表現にも挑戦したいと思うこともあるでしょう。そういった要求にすぐ対応できるのは心強いです。
ペン性能も見ていきましょう。XPPenの最新の「X4」世代のペンで、サイドボタンが2つあります。
いつものように弱点チェックをしたところ、遅延や斜線のゆらぎ、芯の沈み込みなど、昔の液タブではありがちだった弱点は本製品では問題ありませんでした。
また、かなり弱い筆圧から強い筆圧まで自然に反応し、特に軽い筆圧の使いやすさは低価格モデルとは分からないレベルです。濃くも薄くも、細くも太くもブラシの設定を変えずにコントロールでき、不安定さもありません。
初心者向けモデルはコストが大事なので、性能や描き味を妥協してもいいという考え方もありますが、自分の意見は逆で、初心者にこそ変な癖がなくて自然に描けるペンが必要だと思います。その点で、本製品は安価ながらもペンの反応におかしなところがなく、描き味も良いので安心して手を動かしやすいです。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2026年12月31日