> ニュース		2003年6月13日　07:20 PM 更新

Let'snote LIGHT W2の跳ね上げドライブがもたらすメリットとは（2/2）

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　もちろん、W2では「スーツケースに入れて使う」状況を想定していないが、それでもごちゃごちゃした机で使っていて（記者だけでなく、多くのユーザーもそういう状況だろう）、飛び出したトレイがコーヒー入り紙コップを倒すことはないだろうし、「筐体強度を考えるとトレイ方式より格段に有利」（島田氏）というメリットもある。出し入れ機構を省略できたことによる軽量化は言うまでもない。

　ただ、W2の搭載を可能にした一つのブレークスルーが存在する。それは、「メディアの全面が開かなくても、ドライブを出し入れできることを発見した」（星野氏）こと。なんとも単純な話に聞こえるが、「なぜか誰も気が付かず、全面を見えないと取り出せないと思い込んでいた」（島田氏）。たしかに、ポータブルディスクドライブを見てみると、メディアがすべて現れるように蓋が開く。

　「W2でこれをやろうとすると、どうしてもキーボードにかかってしまう。キーボードを分割することや、ドライブ位置の変更なども検討したが、どうにもうまくいかない。ところが、一部が閉じていてもメディアが安全に出し入れできることに、あるとき、ふと気が付いた」（島田氏）

メディアの一部は覆われたままになるが、これでも安全に取り出しができることが確認できた。ただし、より確実に出し入れができるように、ドライブの取り付け角度は水平でなく、手前が上になるように1度程度の角度がつけられている

　ちなみに、メディアの出し入れは右手で行うことが多いのに、なぜドライブが筐体左側にあるのか、と右手ユーザーから意見されることが多いらしい。「でも、跳ね上げる面積を少しでも稼ごうとすると、左側に置かざるを得ない。なぜなら、左側には独立したカーソルキーがあるから」（島田氏）

　入力時の使い勝手、という話になると、これまた多くのユーザーが話題にする「丸いタッチパッド」を避るわけにはいかない。記者が恐る恐る話を振ってみると「実はこれも使い勝手を考慮して丸くしてある」と返ってきた。

　「キーボードに両手を置くと、親指と手首を結んだ部分が“八の字”になって覆い被さる。これが、四角のタッチパッドの角によく触れてしまうので、角をカットしてみた。上の角だけをカットするとデザイン的にバランスが取れなかったので、下の角もカットし、さらに丸い形状を採用した」（星野氏）というのが真相らしい。

使い勝手でもう一つ気になるのが、パワースイッチとドライブイジェクトスイッチの位置関係。当初は「Let'snoteシリーズで統一感を持たせるために、パワースイッチを手前に、イジェクトスイッチはサイドに配置した」（星野氏）が、ユーザーの意見を調査して、使いやすいレイアウトを検討する予定になっている

　W2の構想は「Let's note LIGHT R1を開発して時点でディスクドライブ搭載を考えていた」（星野氏）からスタートしている。

　今回登場したW2は、どちらかというとTシリーズにドライブを内蔵した仕様。ならば、Rシリーズにドライブを内蔵する計画があるのだろうか。

　「興味深い研究テーマとして考えてはいる」と言いながらも、「でも、Rシリーズにドライブを内蔵する必要はあるのか？」と、島田氏からは意外な答えが返ってきた。

　「Wシリーズのように、ただ一つのPCでメインマシンとしても使うならば、ディスクドライブの内蔵は必要。でも、Rシリーズのような携帯利用がメインのマシンでは、少しでも軽いことがユーザーから求められる」（島田氏）

　やみくもに軽くするわけでなく、また、やみくもに機能を盛り込むのではない。ユーザーの使い方を研究し、本当に求められている性能を突き詰めていくのが、Let'snoteの開発方針。ディスクドライブ内蔵ノートPCが、さらなる軽量化を目指すのか、それともW2が最終的な到達点なのか。それは、技術者ではなくユーザーが決めることであると、彼らは考えているようだ。

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