> 特集 2003年6月17日 02:31 PM 更新

特集「Think」って何?
IBMのPCが熱い理由〜PC製品事業部長インタビュー〜

日本IBMはThinkストラテジーを強力に打ち出し、PC事業に対する積極的な戦略をあらわにしてきた。日本IBMのPC製品事業部長である須崎吾一氏に話を聞いた。

 停滞を続けている日本のPCマーケットで他社同様に苦しんできた日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、2003年4月1日付けで、PC製品事業部を社長直属の部門として再スタートさせた。Thinkストラテジーを強力に打ち出した同社は、ここにきて積極的な戦略をあらわにしてきたわけだ。日本IBMのPC製品事業部長ある須崎吾一氏に話を聞いた。

Thinkストラテジーが完成した流れ

――2003年5月22日の発表をもって“Thinkストラテジー”が一つの完成を迎えたわけですが、御社内でのこの動きの始まりと経緯を教えてください。

 私どもではThinkストラテジーと言う前に、PC製品事業部の四つの柱ということを、2002年の頭ごろから言っておりました。それは製品そのものと、今はThinkVantageと呼んでいるセキュリティ、マイグレーション、ワイヤレスの四つです。その後グローバルなPC戦略の一環であるThinkストラテジーが2002年夏に始動し、正式に発表したのが11月です。

 セキュリティチップやワイヤレスなどの技術は既に製品に実装されていましたから、これはマーケティング戦略なのです。

――つまり、ユーザーにわかりやすい形で見てもらいたいと?

 そうです。2年半くらい前でしょうか、コンシューマー向けPCであったAptivaをNetVistaに統合、ThinkPad iシリーズをThinkPadに統合し、企業系およびビジネス・コンシューマーに特化していく戦略を打ち出しました。四つの柱、そしてThinkストラテジーで、企業およびビジネス・コンシューマーのお客さまに対しての利便性の向上を提案をしていく、それがIBMのパソコンである、と改めて整理して出したのです。

デルは、ライバルか?

――御社PC製品事業部として、日本でのライバルというと例えばどのあたりを想定されていますか?

 デスクトップもノートも、製品戦略が各社さまとも異なります。例えばソニーさまはコンシューマーに特化しており、われわれとは対極にあるようにみえます。また、デルさまもコモディティに特化しており、これまたわれわれとは対極にあるといえると思います。

 コンシューマー系とビジネス系、コモディティ系とソリューション系ということで四つの象限を描くとすると、われわれの戦略は明確です。われわれはビジネス向けのソリューション系で、特化する戦略をとっています。戦略を明確にしないと今後残れないのではないでしょうか。


日本IBMのPC製品事業部長・須崎吾一氏

オートノミックはPCにも

――Thinkストラテジーは今後も進化していくと思いますが、現状で見えてきている構想などはありますか?

 確定的ではないのですが、現在定義しているThinkVantageというものが、さらに機能的に発展していくことは間違いありません。また、弊社が提唱しているオートノミックコンピューティングの四つの定義である自己最適化、自己修復、自己構成、自己防御に関連した機能が充実していくでしょう。

 これは全くのイメージですが、PCの中に自立神経のようなセンサーを張り巡らせて、そのセンサーがPC各部の動作を見る。そしてHDDの様子がおかしそうだ、クラッシュするかも知れない、そうしたときにネットにつながっていれば、ユーザーが意識せずにサーバにバックアップデータを送ってくれる。接続していなくても、アラートを出し、ユーザーが適切な処置を取れるようにするなど、こういう自己修復などはできそうですね。

 また、昨今はワイヤレス化が進み、社内などでもアンテナがたくさん立っていると思います。例えばそのワイヤレスLANよりハッカーがサーバに侵入しようとしている場合、LANに入ってきた段階で、ネットワーク管理者が持つオフィスレイアウト上に、ここにハッカーがいる、というアラートを出してくれる、などというソリューションの構想があります。

 実際に実装される機能は、今後ますます発展していくでしょう。これはあくまでも一例です。われわれはPC開発に対して投資を続けていきます。

PC事業部は燃えている

――昨今の沈滞したPC業界の中で、Thinkストラテジーを推進するなど御社はずいぶんとアグレッシブのようですね。

 従来はサーバ事業部と一緒の組織でしたが、4月1日より、私が直接社長の大歳(卓麻氏)にレポートすることになりました。日本IBMとしてPCの事業そのものがお客様とのフロントエンドに立っています。そのビジネスが元気を出して伸びていくことが、日本IBMの成長につながります。その意味で、われわれは非常に大きな期待をかけられています。

 この3月、4月、5月と新製品を次々と登場させました。日本IBMのPCラインアップとしては、ここ数年来の中でも最も充実しているのではないかと思います。ビジネス環境は厳しいですが、その中でも前向きにやっていける要素がありますので。

 確かにコンシューマー系PCブランドをビジネス系に統合したときは悲観的な見方をされましたし、実際に出荷量も減りました。ですがそれを克服するための事業構造改革も終えました。社長の大歳からも事業の成長を期待されています。

 このことを、多くのお客さまや私どもの製品を販売していただいているパートナーさまにご理解をいただくことが大切だと思っておりますし、われわれが次に成長するための課題でしょう。


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