> ニュース 2003年6月24日 11:00 AM 更新

ATIからノートPC向けDDR 400対応デュアルチャネルサポートのチップセットが登場


 ATI Technologiesは6月24日、新しい統合型チップセット「RADEON 9100 IGP」「MOBILITY RADEON 9100 IGP」をリリースした。この製品はすでに発表されているMOBILITY RADEON 7000 IGPの上位機種となるもの。いままで開発コード名「RS300」と呼ばれていた製品だ。

 9100 IGPシリーズは、ノースブリッジにビデオコアを内蔵したもので、ATIによると、そのパフォーマンスはMOBILITY RADEON 7000 IGPの4倍、デスクトップ用グラフィックス専用チップのRADEON 7500の2倍になるとされている。

 Direct Xは8.1、Pixcel Shaderは1.4までをサポート。また、Anisotropic texture filteringとFull Screen Anti-Aliasingにも対応している。


ATIが3DMark03で測定した、主な製品とのパフォーマンス比較。パフォーマンス的には、デスクトップ向け最新ラインナップであるRADEON 9200の下位、RADEON 7500の上位という位置付けになっている

 内蔵コア以外にも、外付けのAGP 8Xのバスを持っており、専用のビデオカードや、外付けのビデオチップを接続することが可能だ。

 メモリバスはノートPC用チップセットとして初めてDDR 400に対応。しかも2本の64ビットバスを合わせて使えるデュアルチャネルをサポートすることで、ノートPCでも最新デスクトップ並みのメモリバス帯域を実現している。最大メモリ容量は4Gバイト。


RS300のブロック図。外付けAGPをサポートするのは従来機種のMOBILITY RADEON IGP 7000と同様。ただし、AGP 8Xに対応するなど機能は向上している。注目はメモリバス。DDR 400に対応しただけでなく、ノートPC用チップセットとしては初めてデュアルチャネルをサポートする

 FSBはともに533MHzまで対応。MOBILITY RADEON IGP 9100は、Pentium Mのライセンスをインテルから正式に受けている。同様にPentium Mの正式ライセンスを受けていたMOBILITY RADEON IGP 7000は、インテルからのライセンス許可がCentrino発表直前だったため、ノートPCベンダーが採用するだけの時間的余裕がなかったが、MOBILITY RADEON IGP 9100に関しては、採用したノートPCが秋から冬にかけて登場する可能性が高い。

 サウスブリッジには、SB200と呼ばれるチップが組み合わされる。3COMの10/100BASEコントローラが組み込まれ、USB 2.0を6ポート、Ultra ATA/100を2チャネルサポートする。ただし、残念ながらSerial ATAやIEEE 1394には対応していない。

 ATIは9100 IGPシリーズをバリュー向けPCプラットフォームとして考えている。このクラスのチップセットでは、製造コストを抑えるために、統合型チップセットが必須となっているが、Pentium 4対応の従来製品はとくに3D描画性能がボトルネックになっていた。

 9100 IGPは、この3D描画性能で競合チップセットを上回るだけでなく、FSB、メモリバスでも最新のデスクトップ向けチップセットに匹敵するスペックを持っている。バリュークラスPCやノートPCのパフォーマンスを、格段に向上させる、注目すべきチップセットと考えていいだろう。

 とはいえ、気になる要素もいくつかある。一つは出荷が滞りなく行われるか。競合のNVIDIAほどではないにしても、RADEON 9800/9600シリーズは、出荷が大幅に遅れ、期待されたノートPC向けMOBILITY RADEON 9600/9200は、今年の夏モデルに間に合わなかった。統合型チップセットに至っては、ようやく二世代前のMOBILITY RADEON 340Mが採用され始めた状況。

 もう一つの懸案要素は、バリュークラスノートPCに対するパフォーマンスの要求だ。ノートPCベンダーはバリュークラスの製品に、7000 IGPの特徴である、FSB533MHzやPC2700のパフォーマンスを求めていない。バリュークラスで求められているのは、さらなる低価格化。たしかに、9100 IGPはスタンダードのチップセットを搭載したマザーボードに専用のビデオカードを組み合わせる半分のコストで、より高いパフォーマンスをもったシステムを構成できる。しかし、それでも7000 IGPの価格を上回ってしまうのは避けられない。


専用のビデオカードを組み合わるシステムのコストと、統合型チップセットで実現するシステムのコストを比較する。これまでバリュー向けとされてきたRADEON 7500とマザーボードの組み合わせを、9100 IGP(RS300)に置き換えると、コストが15ドル抑えられて、パフォーマンスは2倍になる、というのがATIの主張だ

 ただし、3Dのパフォーマンスが要求され、かつ、値段も抑えたいエンターテイメント向けコンシューマでは、9100 IGPは競合製品に対して圧倒する力を持っている。旧機種になってしまった、VIAやSiSの統合型チップセットに対しては、FSB、メモリバスといった基本性能からして上回り、最新のIntel 865Gに対しても、FSB以外のスペックは互角、3D描画性能は圧倒しているといっていい。

 FSB533MHzのCPUを搭載して、ビデオカードを省いた構成ならシステムの価格はかなり抑えられる。このようなコストを重視しながらも最新マシン並みのパフォーマンスを求められるミドルレンジの製品でこそ、9100 IGPはその威力を発揮するだろう。


チップセットの出荷は8月から9月に予定されている。最初は9100 IGPを搭載したマザーボートが登場する予定。統合型で使ったもよし、AGP8Xを実装して専用のビデオカードを差してもよし、と省スペースPCユーザーにとって、実に有力なマザーボードになる

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[長浜和也, ITmedia ]

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