> ニュース 2003年9月4日 10:26 PM 更新

古いPCのメモリ規格を救済――メルコ、「Virtual Bank Memory」発表


 メルコは9月4日、256MビットDRAMを擬似的に128MビットDRAMとして動作させる独自技術「Virtual Bank Memory」を発表。同日、新技術の説明会を実施した。


「Virtual Bank Memory」搭載のSDRAMサンプル

 PCのメモリにはこれまで「SDRAM(Synchronous DRAM)」が主流で搭載されてきたが、PCの高性能化に伴い、同期タイミングを強化して転送レートを従来の2倍に速度アップした「DDR(Double Data Rate)SDRAM」が2001年に登場。Rambusが提唱する「Direct RDRAM」との次世代メモリ戦争に勝利し、現在では市販PCのほとんどが高速転送に対応したDDRに移行している。

 このような市場の動きに合わせて、DRAMメーカーの生産もDDRに移行しつつある。同社パソコン関連事業部マーケティンググループリーダーの畔上勝氏は「市場のDDR移行に伴い、従来主流だったSDRAM向けDRAMの供給不足がすでに始まっている。特にPC向けが中心だった128ビットDRAMなど低容量タイプでその動きは顕著。逆に、民生機器などの組み込み向けに仕様される256Mビット以上のDRAMは、比較的長期に渡って供給される見通し」と語る。

 「128MビットDRAMがなくなっても、256MビットDRAMで代替できるのでは」と考えたくなるが、実はそう簡単にはいかない。同じDRAMでも128ビットタイプと256Mビットタイプとでは、仕様に違いがあるからだ。

 「チップセットによっては、128MビットDRAMを搭載したメモリモジュールしか対応できないものも多い。当社のPC133/100対応SDRAM(128ビットDRAM採用「VS133」シリーズ)の動作確認を行っているPC(6747機種)のうち、256MビットDRAM搭載メモリモジュールが動作した機種は、わずか22%弱しかなかった。128MビットDRAMの供給がなくなった場合、残り8割のPCは増設・換装ができなくなる」(畔上氏)

 同社が調査したチップセット別のSDRAM対応状況は以下の通りだ。

チップセットPCモデル数(6747機種)構成比率128ビットDRAM搭載(VS133)256MビットDRAM搭載
440BX1457機種22%×
i8101647機種24%×
i815867機種13%
i845576機種9%
SiS630799機種12%×
その他1401機種21%

編集部注:同社によると「“その他”の△に含まれる256MビットDRAM搭載メモリー動作機種はごく少数。“その他”チップセット搭載機の販売数自体も全体から比べると少ないので、今回は動作機種にカウントしていない」、「i815チップセットでもマザーボード側でi810仕様にしていて動作しないPCもあるが、本来、規格上は動くものとしてそれぞれのチップセットにそのままカウントした」とのこと。

 PC133に対応したi815やi845などでは256MビットDRAM搭載のメモリモジュールも使えるが、それ以外のIntel製チップセットや、統合型チップセットとして人気が高かったSiS630は、128ビットDRAM搭載のメモリモジュールしか対応しない。

 「今さら440BXやi810なんて」と思われる読者も多いだろうが、例えば440BXは、1998年4月の登場から2001年春頃まで3年もの長期にわたって主力PCに採用されてきたロングセラーモデル。また、1999年4月に発表したi810も、低価格PC向けチップセットとして人気を誇り、台数ベースでは440BXを上回るPCに採用されてきた。上の対応表には自作PCは含まれないが、自作ユーザーの間でも440BXやi810といったチップセット搭載マザーボードは長い間“安定動作の定番マザー”として支持され、ユーザー数も多い。

 「市販PCのほとんどがDDR対応だが、アフターマーケットでは、従来型SDRAMの販売がまだ65%を占めている。ユーザー側のDDRへの移行がゆっくりなのに対して、DRAMメーカーはSDRAM生産を急速に減少させていることが今後大きな問題になる。また、PCの性能向上によって、古いPCを買い換えずに活用しようとするユーザーも増えているほか、中古PC市場も活況を呈している。この動きは、10月1日から始まるPCリサイクルシステム(家庭系PCの自主回収・再資源化システム)で、さらに加速しそうだ」(畔上氏)

128MビットDRAMを“偽装”する「Virtual Bank Memory」

 DRAMではメモリアクセス時に、Row(行)とColumn(列)でアドレスを指定し、データの読み書きを行う。このROWアドレスの本数とリフレッシュレートの違いが、同じSDRAMであるのに動作しない原因となっている。

 256Mビット版と128Mビット版の仕様上の違いについて、同社パソコン関連事業部第一開発グループの豊後基彦氏は「DRAMのROWアドレスは、128Mビット版は12本なのに対して256Mビット版が13本と1本多い。本来ROWアドレスが13本必要な256MビットDRAM搭載メモリモジュールを128Mビット版DRAMしか対応していないPCに挿すと、理論上容量の半分しか認識できなくなる。実際には、半分の容量も認識せず動かないPCも多い。また、i815チップセットでもマザーボード側でi810仕様にしていて動作しないPCもある」と説明する。

 「Virtual Bank Memory」では、256MビットDRAMを擬似的に128ビットDRAMに見せかける「128ビット偽装回路」を作成。さらに、PCのチップセット仕様の違いを自動判別して128ビット偽装回路のON/OFFを行う「PC自動判別回路」も開発した。「これによって、動かなかったi810やSiS630チップセットが動作可能になり、対応PCの比率も22%弱から58%以上に向上した」(豊後氏)


白い部品がVirtual Bank Memoryの回路。けっこう出っ張りがあるが、メモリスロット上での干渉は「ギリギリ大丈夫」(同社)

 ただし、メモリモジュールの表裏(2RANK)に搭載したDRAMを同時に使用するモードがある440BXでは、Virtual Bank Memory技術が使えないため動作できない。

 Virtual Bank Memoryを搭載したメモリモジュールは、128Mバイト版「VB133-128M」と256Mバイト版「VB133-256M」の2種類が用意される予定。ただし、価格や発売時期は今のところ未定という。

 「技術的にはすでに確立されており、サンプル出荷はすぐにでも可能な状況。だが、マーケットではまだ128MビットDRAM搭載のSDRAMが入手可能な状態なので、現時点での市場投入はユーザーの混乱を招くと判断した。128MビットDRAMの供給不足は来年ぐらいから起き始めると予測しているので、来年後半には発売したい。価格は既存SDRAMとほぼ同等になるだろう」(畔上氏)

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▼ メルコ

[西坂真人, ITmedia ]

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