> ニュース 2003年9月10日 10:02 AM 更新

PCとテレビの融合を突き詰めた「バイオV」


 9月9日に発表されたバイオの秋モデルは、その多くが従来機種のCPUやHDD、メモリのアップグレード。唯一の新規ラインアップであるバイオVシリーズも、Celeronを搭載し、実売予想価格16〜18万円といったエントリークラスの製品であるため、ちょっと「地味」と言えなくもない。


バイオV「PCV-V10」

 バイオ全体におけるVシリーズの位置付けは、従来の15インチディスプレイを搭載したバイオWエントリーモデルの後継とされている。しかし、ワイド画面とギミックを盛り込んだデザインのバイオWと比べると、4:3のディスプレイやシンプルな液晶テレビ的デザインのVシリーズは、より平凡に、または「後退」気味に見えるかもしれない。

 だが、この「V」こそが「テレビ」というキーワードをアピールする今年前半のバイオが目指してきた、究極的な姿でもあるのだ。

 この製品の商品企画、開発をリードしてきた国則正人氏(インフォメーションテクノロジーカンパニー企画部企画3課係長)は、「バイオは僕のテレビです、というバイオWからアピールしているキーワードには、PCとテレビが融合し、ゆくゆくはPCとテレビの境目がなくなることをイメージしている」と語る。

 テレビとPCの境目がなくなる、で、連想されるのがPSX。「テレビのそばにあってリビングで使ってもらえるPSX。スペースが限られていてPCとテレビのディスプレイを2台並べられないプライベートルームではバイオV」と、ライフスタイルにおける両者のすみ分けを述べたうえで、「バイオVとPSXの決定的な違いは、PCの持つ処理能力の高さと賢さ」と国則氏は説明する。

 しかし、ユーザーからすれば「処理能力の高さ」も「賢さ」も、「何ができるか」という問題に比べるとそれほど重要なことではない。

 「VHSのリプレース」とソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)社長の久夛良木健氏がアピールしているPSXだが、MP3やDVD-Videoも再生できれば、インターネットサービスも一通り利用できるはず。SCEIは重要視していないが、ユーザーにとって大事なゲームは当然のごとくプレイできる。

 処理能力と賢さが求められ、バイオVでないとできないこととは、具体的に何であるのか?

 これからのバイオシリーズの存在意義にもかかわるテーマであるが、残念ながら明快な回答は返ってこなかった。国則氏は開発者の視点で「PCの強みは柔軟性。PSXのようなカスタムパーツを利用した専用機と比べると、汎用パーツを使えるPCは開発期間が短く、ユーザーが求めている機能をすぐに反映できる」と述べる。

 確かに、今の市場で求められている「多種多様な製品を短期間で投入する」に対応できるのは、バイオV、またはバイオのようなPCラインアップだろう。

 実際、バイオVは「バイオWよりもコンパクトで、置き場所を自由に選べ、購入しやすい」というユーザーの声を受けて開発された製品。Microsoft Office 2003を同梱しないPCV-V10/Wなら実売予想価格は16万円前後だ。

 「一体型PCは例えバイオであっても失敗する」というコメントが多かったがバイオWは、見事にセールスを成功させた。「ちょっと地味」という声が聞こえてくるバイオVも、4:3の液晶テレビ的デザインでユーザーに広く受け入れられる可能性は高い。

 ただ、年末にバイオVの後継機種とPSXが並んだときに、ユーザーにバイオVを選ばせるだけの違いを、どのように盛り込んでいくのか。

 その答えは、これから探し始めるようだ。


バイオVのブラックモデルとホワイトモデル。液晶表示時はホワイトモデルが好評だったが、液晶が消えると黒一色になるブラックモデルも捨てがたい。廉価モデルがホワイトのみなのが惜しいぐらいだ

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[長浜和也, ITmedia ]

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