> コラム 2003年9月22日 09:42 PM 更新

デジタル写真時代の表現者 #003
デジキシン氏の現場(2/2)


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オリジナルなのは目と心だけ

 「僕は表現する形態が変化していくことに恐れはないんです。新しい道具があれば『やっちゃえ!』と(笑)。それで出来上がるものが面白ければ『いいじゃない、コレ!』と(笑)」

 「それに暗室が無縁のデジタルは、基本的に明るい。撮影時のテンポやノリも軽やかな感じでいけます。デジタルはいろんな意味で僕のやり方に合っていたんですね。もう、デジタルを使わない理由なんて見当たらない、というくらい気に入っています。ただ、デジタル写真はオリジナルとしての価値が成立しないですよね。データにはフィルムのような確固たる物証を持たせにくい。でも、僕の目と心だけはオリジナルなわけですから」

 「オンライン上で作品を発表することのデメリットよりも、誰の真似でもないスタイルを先にやってしまうことのほうに関心があります」

 digi+KISHINのサイトを視聴するには、いくつかのハードルがある。まず、OSはWindowsでなければならず、Macユーザーは観ることができない。再生には、著作権保護機構を組み込んだWindows Media Playerが必要であるためだ。一定期間の自由視聴という料金設定なので、その期間が終了すると、ダウンロードしたムービーファイルも再生できなくなる。Mac版ではこの仕組みがまだ整備されていないため、会員になりたくてもなれないのである。

 また、CPUの処理能力が高くないとサクサク見られないし、通信環境もブロードバンドでなければならない。課金は、クレジットカード決済か、インターネットプロバイダー(現在はBIGLOBEのみ)経由での引き落としのみである。

 インターネットによる作品発表にはまだこのような課題が残されているが、それらを抱えたまま未知の大海原に乗り出してしまうそのパワーとエネルギーに敬服するばかりだ。ノートPCのフル画面で見せてもらったdigi+KISHINは、いうまでもなく美しくすばらしかったことを最後に付け加えておきたい。


デジキシン(digi+KISHIN)

 digi+KISHINは写真家・篠山紀信がデジタル表現を行なうときのクリエーターネームであり、作品を発表しているWebサイトの名称でもある。同サイトには150本以上の作品があり、DVDもすでに11作が発売中。digi+KISHINオフィシャルマガジン「digi+Girls」(朝日出版社)も9月に発刊された。


digi+KISHINはDVDパッケージ『アカルイハダカ』にもなっていて、Webサイトにはないオリジナルカットも収録する。価格は3400円。digi+KISHINのオンラインショップや、家電量販店、大手書店等で購入できる

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[島津篤志(電塾会友), ITmedia ]

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