> ニュース 2003年10月3日 10:01 PM 更新

自動オーバークロック機能を搭載したRADEON 9800 XT/9600 XT


 10月1日(米国現地時間では9月30日)にATI Technologesから発表されたRADEON 9800 XTとRADEON 9600 XTは、それぞれRADEON 9800 PRO、RADEON 9600 PROの後継製品だ。

RADEON 9800 XT。RADEON 9800 PROと大きく異なるのが、全面を覆ったシートシンクと大口径のファン。透明樹脂で覆われた排気口など、一瞬GeForce FX 5900を思わせるが、塞がるスロットは一つだけ

 RADEON 9800 XTは、RADEON 9800 PROと同じ構成のGPUを使い、動作クロックを従来のコアクロック380MHzから412MHzに、メモリクロックをDDR 700MHzからDDR 730MHzをアップさせた。

 プロセスルールは0.15マイクロとこれもRADEON 9800 PROと変わりない。この理由について、ATIのトシ・オクムラ氏( Market Development Group Desktop Discrete Graphics Market Manager)は「開発期間を短縮し、出荷スケジュールを守ることを優先したため」と答えている。

 RADEON 9600 XTもプロセッサの構成はRADEON 9600 PROとほぼ同じ。こちらもコアクロックがRADEON 9600 PROの400MHzから500MHzにアップしている(メモリクロックはこれまでと同じDDR 600MHz)。

 ただし、コンシューマーの半導体としては初めて、トランジスタの層間絶縁膜に低誘電体(Low-K)を採用しているのは、目立たないながらも大きな変化だ。ライバルのNVIDIAも、Low-Kトランジスタをいち早く導入するために、それまで生産を依頼してきたTMSCに加え、GPUの製造技術でIBMと提携したわけだが、TMSC製チップを実装した製品が、ライバルのATIから先に発表されてしまったのは興味深い。

 とはいえ、Low-Kを採用したチップの製造ラインは、まだ稼動したばかりなので、歩留まりが気になるところだ。ATIで「いち早く」0.13マイクロプロセスを採用したRADEON 9600 PROの出荷が、予定から大幅に遅れてしまったのは記憶に新しい。

 この点についてオクムラ氏は、TMSCにおける半導体の生産には問題はなく、RADEON 9600 XTの生産が順調に進んでいると強調した。RADEON 9600 XTの出荷は、RADEON 9800 XTより2〜3週間遅れの10月第3週から第4週の予定だ。

 早くなったクロック以外にも、RADEON 9800 XT/9600 XTでは新たに自動クロックアクセラレータ機能ともいうべき「ATI OVERDRIVE」がサポートされている。

 この機能は、MOBILITY RADEON 9600の省電力機能「POWERPLAY 4.0」でも取り入れられている技術で、チップに内蔵されたセンサーで温度をチェックし、その状態に合わせてコアクロックを変更するもの。この機能によってRADEON 9800 XTは435MHzまで、RADEON 9600 XTは550MHzまでクロックを自動的に上げてくれる。

 クロックアップというと個体差が気になるが、ATIでは、出荷時検査で435MHz、もしくは500MHzでの動作検証を行っているので、ATI OVERDRIVE機能はすべての製品で問題なく使えるとしている。

 なお、従来のRADEON 9XXXシリーズには、ATI OVERDRIVEで必須の温度センサーが搭載されていないので、残念ながらこの機能を使うことはできない。

 ATIは自社製ビデオカードの日本向け出荷を停止しているため、日本で入手できるRADEON 9800 XT/9600 XTカードはすべてサードパーティ製になる。

 これまで、製造が困難だった最上位製品だけは品質維持のためカードで供給していたが、今回の製品は、ほかのラインアップと同じように、サードパーティの希望にあわせてチップ、もしくはカードで供給される。

 なお、これまで一部のサードパーティに見られた、純正品と異なるスペックの製品が登場する可能性については、「ATIでサードベンダー製品の品質やスペック、パフォーマンスのチェックを行っていくが、組み込むPCのフォームファクターにあわせてクロックを変更した製品は、これからも登場する可能性はある」(オクムラ氏)と述べている。

 RADEON 9800 XT/9600 XTは11月末にリリースされる予定の「Half-Life 2」をバンドルすることでも注目を集めている(リリース前に出荷される製品にはレジストリキーが印刷されたクーポンが同梱される。ゲームがリリースされた時点で、ユーザーはゲームダウンロードサイトにアクセスし、レジストリキーを入力してゲームをダウンロードする)。

 Half-Life 2はDirect X 9.0から実装されたファンクションを全面的に駆使したゲーム。ATIはXTシリーズのアドバンテージとして、Direct X 9.0対応ゲーム動作させたときの高いパフォーマンスを強調している。

ATIが公開した「競合ベンダーの最上位製品」を基準にしたRADEON 9800 XT相対パフォーマンス。CPUはPentium 4/3.20GHz、メモリはDDR 400を1Gバイト使用している

こちらもATIが公開した「競合ベンダーの競合製品」を基準にしたRADEON 9600 XTの相対パフォーマンス。ここで示されているテスト環境はCPUがAthlon XP 3200+、メモリはPC2700を1Gバイト使用

Half-Life 2のベンチマークモードでATIが測定したATI製カードとNVIDIA製カードの比較。このテスト環境はCPUがPentium 4/3.20GHz、メモリはDDR 400を1Gバイト。ATIの説明ではハイエンド製品で1.7倍、ミドルレンジ製品では3.4倍もの開きがでている

 ATIは、RADEON 9700 PROをリリースしたあたりから、ゲームデペロッパーやグラフィックエンジンのデペロッパーなどへ積極的にサポートを行うなど、ゲーム業界に対して綿密なリレーションを取るようになってきている。

 オクムラ氏は「グラフィックエンジンデペロッパーが開発環境にATIを選択するということは、そのエンジンを採用したすべてのゲームタイトルでATI製ビデオカードにチューニングされることになる」と、とくにグラフィックエンジンデペロッパーに対するリレーショナルを、これからも強化していくことを明らかにしている。

 「NVIDIAはゲームディストリビュータと連携を取っているが、ATIはデベロッパーと連携と取るようにしている。彼らがDirect X 9.0対応ゲームの開発を開始したとき、使えるカードはRADEON 9700 PROしかなかったので、これから登場するDitect X 9.0対応ゲームはATIのビデオカードにチューニングされている。だから、RADEON 9800 XT/9600 XTを搭載したPCでは、描画品質とパフォーマンスは格段に向上するだろう」(オクムラ氏)

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[長浜和也, ITmedia ]

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