> ニュース		2003年10月23日　04:21 PM 更新

Appleジョズウィアック氏、iBook G4とポータブル戦略を語る

G4搭載iBookが非常に低コストで投入されたことで、12" PowerBook G4との差別化が難しくなったとの声が上がっている。Appleのグレッグ・ジョズウィアック氏が疑問に答えた。（IDG）

　Apple Computerはようやくコンシューマーラップトップ製品からG3プロセッサを取り除いた。10月22日、同社はiBookのラインアップを一新し、iMac、eMacと同じくG4プロセッサを搭載した。アナリストらはiBookにG4プロセッサを搭載するのはよい判断だと考えているが、AppleはG4 iBookとG4 PowerBookの明確な差別化を行う必要があるとも考えている。

　「われわれは、2003年がノートブックの年になると話しており、まぎれもなくそれは事実だ」とAppleのハードウェアプロダクト・マーケティング担当上級ディレクター、グレッグ・ジョズウィアック氏はMacCentralに語った。「Appleは今年、全コンピュータ製品のうちポータブル製品が占める割合は42％になると予想しているが、これは業界の平均値である25％をはるかに上回るものだ」と同氏。

　ニューモデルで改善されたのはG4プロセッサだけではない。AirPort Extreme (IEEE 802.11g) 54Mbps無線LAN接続がサポートされ、Double Data Rate (DDR) RAMを採用。ATI Mobility Radeon 9200グラフィックシステムは32MバイトVRAMを備えており、Bluetoothモジュールが内蔵可能になっている。さらに、すべてのがiBookが256MバイトのRAMを備え、スロットローディングのCD-RW/DVD-ROMコンボドライブを搭載することになった。

　iBook G4はUSB 2.0にも対応しているが、FireWire 400、内蔵56K v.92モデム、10/100BASE-T Ethernetなどは前モデルと同様だ。画面解像度は全モデルとも1024×768ピクセル（XGA）である。

　これだけの新機能がそろっているにもかかわらず、Appleでは新iBookによって12インチPowerBookの売れ行きが落ちるとは心配していない。新しいiBookは、その従兄弟に当たるPowerBookと非常に似たスペックになっているが、プロユーザーがポータブルコンピュータを選ぶときに気づく、多くの違いがある。

　「両製品とも、別々のターゲット層に向けて設計されている」とジョズウィアック氏。「PowerBookはプロ向けのアルミニウムデザインで、デュアルディスプレイとDVIをサポートする。これはプロ市場では重要なスペックだ。そしてG4プロセッサも違う（iBookのL2キャッシュはPowerBookよりも容量が少ない）し、グラフィックシステムも異なる」と同氏は説明する。

　Appleがユーザーに2種類のノートPCの説明をする際には、気をつけたほうがいいと警告するアナリストもいる。

　「iBookにG4を搭載すると、エントリーレベルモデルであるiBookと12インチPowerBookの違いがあいまいになる」とJupiter Seniorの上級アナリスト、ジョー・ウィルコックス氏は述べる。「AppleはG4以外の違う部分、たとえばプロセッサのキャッシュサイズやハードディスクの容量を注意深く説明し、2つのモデル500ドルという価格差を正当なものだと認めさせなければならない」

　Technology Business Researchのアナリスト、ティム・ディール氏は、G4をiBookに搭載することは、「Windowsベースの競合製品との性能比較において優位になる」と考えている。

　Appleはすべての新iBookがMac OS X v10.3, “Panther”をプリインストールするとしている。Pantherは10月24日に世界同時発売される予定で、開いているウインドウをすばやくナビゲートできるExpose、Fast User Switching、128ビット暗号化を使ったセキュリティシステムのFileVault、Windowsプリンタ、ネットワークサービスとの互換性改善といった150以上の新機能がある。

　新iBookにはiLifeスイートのうち、4分の3がバンドルされる。音楽を聴き、ダウンロードを行うiTunes、DVカメラからFireWire経由でムービーをインポートし、編集するためのiMovie、そしてデジタルフォトを整理・編集するiPhotoの3製品だ。iDVDに関しては、iBookにはDVD-Rライティング機能を持つ“SuperDrive”搭載モデルがないためバンドルされない。SuperDrive搭載のラップトップが必要な場合は、プロフェッショナル向けのPowerBookを購入する必要がある。

　その他、AppleWorks,、Aspyr MediaのTony Hawk's Pro Skater 4、Ambrosia SoftwareのDeimos Risingなど、Apple純正、サードパーティ製品が多数バンドルされる。

　全モデルがスロットローディングのコンボドライブと256MバイトRAM、USB 2.0ポート×2、FireWire 400ポート、ビデオ出力ポートを備える。ビデオ出力ポートにはApple VGA Video Adapterが付属し、iBookの内蔵ビデオを外部ディスプレイやプロジェクターにミラーリングできる。TVやVTR用のS-Video/コンポジット出力には別売のApple Video Adapterが必要。

　1099ドルのモデルは800MHzプロセッサ、12.1インチディスプレイ、30Gバイトハードディスクを搭載。1299ドルの933MHzモデルは14.1インチで40Gバイトハードディスク搭載。1GHzのシステムは14.1インチディスプレイ、60Gバイトのハードディスクを搭載する。

　さらに、ユーザーはBTOオプションを設定することにより、メモリを最大640Mバイトまで、ハードディスクを40Gバイト、60Gバイトに変更し、内蔵Bluetoothモジュール、AirPort Extremeカードを組み込むことができる。

　「iBookはコンシューマーと教育のために設計されてきた。それは今でも変わらない」とジョズウィアック氏。「PowerBookは今年、信じられないほどの成功を収めており、それが止まるとは思えない。iBookにG4プロセッサを投入する時期が明確に到来した、ということだ」と結んだ。

[ IDG Japan ]

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