「ゼロ・エネルギー」を2014年度に達成、発電量が消費量を上回ったスマートオフィス

大林組が東京都内にある研究所のオフィスビルで「ゼロ・エネルギー」を年間で達成した。2014年度の太陽光による発電量がビル全体のエネルギー消費量を上回り、実質的なエネルギーの使用量をゼロ以下に削減することができた。空調や照明を最適に制御する仕組みも効果を発揮した。

» 2015年04月16日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京都の郊外にある大林組の技術研究所の構内に「本館テクノステーション」が建っている。200人以上が勤務するオフィスビルで(図1)、内部には社員食堂もあってエネルギーの需要は通常のオフィスビルと変わらない。大林組がZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)を目指して2010年に建設して以来、エネルギーの使用量を実質的にゼロにする取り組みを続けてきた。

図1 「本館テクノステーション」の執務スペース。出典:大林組

 2013年度までは空調や照明を中心に省エネ対策でエネルギー消費量を削減しながら、2014年度に太陽光発電を大幅に増やしてエネルギー消費量を上回った(図2)。消費量から発電量を相殺した正味(ネット)の使用量がゼロ以下になってZEBを達成することができた。

図2 年間のエネルギー消費量と再生可能エネルギーによる削減分(MJ:メガジュール=電力量の約0.28キロワット時に相当)。出典:大林組

 大林組が2014年度から新たに実施した対策は3種類ある(図3)。1つ目は空調や照明のエネルギー使用量を削減するために制御方法を改善した。例えば照明には「タスク・アンビエント方式」を採用して、照明を少なくしても十分な明るさを確保することができる。

図3 ZEBを達成するための主な対策。出典:大林組

 2つ目の対策はコージェネレーションシステムで作る熱を研究所内の別の建物に融通できるようにした。融通した分を本館テクノステーションのエネルギー消費量から相殺することが可能だ。そして3つ目に太陽光発電設備を拡大して発電量を増やした。

 従来から屋上で太陽光発電を実施してきたが、2014年4月に隣接する2棟の建物の屋上にも太陽光パネルを設置して、発電した電力を本館テクノステーションに優先的に供給する体制を構築した(図4)。これで発電能力が150kW(キロワット)から700kWへ4倍以上になった。敷地が限られているために、周辺の建物の屋上を太陽光発電の増強に利用する方法である。

図4 「本館テクノステーション」の全景(左)、隣接する2棟を加えた太陽光発電設備(右)。出典:大林組

 月別にエネルギー消費量と発電量を見ると、4月から10月までと3月の合計8カ月間で発電量が消費量を上回っている(図5)。11月から2月の4カ月間は、暖房需要が増えて日照時間が短くなるために消費量のほうが多い。年間では発電量が消費量を18%上回ってZEBの目標を達成した。

図5 2014年度のエネルギー消費量と再生可能エネルギー発電量(GJ:ギガジュール=電力量の約280キロワット時に相当)。出典:大林組

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