時速100kmで0.2mmのひび割れを検出、高速画像処理でFM

NEXCO中日本と東京大学大学院情報理工学系研究科は、高速画像処理を用いたトンネル内点検技術を開発した。時速100kmで走行しながら、幅0.2mmのひび割れを検出することに成功したという。

» 2017年04月27日 06時00分 公開
[長町基BUILT]

2018年度の導入へ

 NEXCO中日本と東京大学大学院情報理工学系研究科は、高速画像処理を用いたトンネル内点検技術を開発したと発表した。両者は2013年から点検技術の信頼性向上、点検の高度化・効率化を目指し、トンネル内を高速で走行しながら画像処理で自動的に変状を検出する技術の研究に取り組んできた。その結果、開発の目標としていた高速走行しながら幅0.2mmのひび割れを検出することに成功したという。実用化に向けて機器の信頼性の確認や運用体制の確立を引き続き実施し、2018年度の導入を目指す。

 トンネル構造物の点検は5年に1度、高所作業車を用いた近接目視や打音、触診により実施している。今回開発した技術により、事前にトンネル内を撮影し、精度の高い情報を事前に把握した上で点検に臨むことで、点検の信頼性向上や効率化が期待できる。

左=静止した状態で撮影したトンネル表面図/右=開発した技術を使用し、時速100kmで走行しながら撮影したトンネル表面の画像 (クリックで拡大) 出典:NEXCO中日本

 両者は2016年に時速100kmで、幅0.5mmのひび割れを検出していた。同技術により、時速100kmの走行で幅0.2mmのひび割れを検出することが可能となった。この技術が実用化すれば交通規制を行わずにひび割れ検出ができるため、点検コストの低減につながる。撮影機器は小型であり、一般車両に搭載できるため専用車両も必要ないとする。

 今回開発した技術には、東京大学が研究開発した「高速画像処理技術と高速小型回転ミラー」が用いられ、高速移動中でも画面の中心に被写体を捉え続ける制御を行うという。この技術により、ブレの無い高精度な映像の撮影が可能となっただけでなく、従来よりも撮影に必要な照度を抑えることができるため撮影装置の小型化に成功した。

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