建物のエネルギー効率化へ投資意欲は増加、再エネ設備への関心も高まる省エネビル

米Johnson Controlsの調査によると、建物のエネルギー利用の効率化に対する投資は増加傾向に。依然としてエネルギー利用の多くを占める空調機器への投資意欲が高いが、再生可能エネルギー発電設備や、蓄電池への関心も高まっているようだ。

» 2017年10月23日 06時00分 公開
[長町基BUILT]

 米Johnson Controlsは、米国、カナダ、中国、ドイツなど10カ国1500人以上の施設管理者やマネジメント責任者を対象に実施した、建物におけるエネルギー利用の効率化に関する独自調査の結果を公表した。その結果、2016年より「エネルギー利用の効率に対する関心は高くなっている」回答した企業は全体の70%にのぼった。さらに、今後エネルギー利用の効率化に向けた投資を拡大する予定であると回答した企業は、58%と半数を超えた。

 世界的に見ると、エネルギー利用の効率化においては、コスト削減が依然として投資における最大の原動力となっているようだ。回答全体の77%が、投資を促進する上で「非常に重要」または「極めて重要」な要素としてコスト削減をあげている。また、米国およびカナダでは、温室効果ガスの排出量削減およびエネルギーセキュリティの向上がそれぞれ92%、91%と最大の投資原動力とされた。これらは、調査結果全体でも第2位、第3位に位置しており、温室効果ガス排出量削減は、調査開始以来、最高の順位になっているという。

 2016年に実施したエネルギー効率改善のための投資先は、HVAC(冷暖房空調)機器が最多の75%で、前年と同様の結果となった。一方で、次年度の投資計画では、オンサイトの再生可能エネルギー発電設備への投資が最も多く、57%を占めた。蓄電池などを活用するエネルギーの貯蔵にも関心が高まっており、48%の企業が次年度に投資計画があると回答した。

 オンサイトの再生可能エネルギーおよび電力貯蔵への投資は、「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)」や、施設の防災対策に対する関心の高まりとともに、拡大していくものみられている。調査では54%の企業が、今後10年以内に少なくとも1棟のビルでエネルギー収支がゼロ、ほぼゼロ、または消費エネルギーを上回るエネルギーを生み出せる状態を達成したいと回答している。

 今後のインフラ投資については、71%が、悪天候や長期にわたる停電の際に、オペレーション機能を維持することは「非常に重要」、または「極めて重要である」と回答した。また回答者の52%が今後10年以内に電力系統に接続せず、オフグリッドで操業できる施設を1件以上持つ可能性が「非常に高い」、または「極めて高い」と答えた。

 政策も引き続き重要で、52%の企業が政策を「非常に重要」、または「極めて重要」な投資原動力として挙げている。エネルギー効率改善への投資を促進する最も効果的な政策に関する質問では、ビル性能のベンチマークおよび認定が「非常に重要」、または「極めて重要」だと回答した企業が83%となり、次に政府主導のリース、ビルの設計、改修が81%と続いた。

 スマートビルに対する関心も高まっており、世界の回答者の46%が2016年にビルシステムインテグレーションへの投資を実施したと回答。統合されたビルシステムの上位4位は、エネルギー管理(43%)、照明(43%)、セキュリティ(40%)、防災(38%)に関するシステムだった。80%以上の企業が今後、ビルシステムの統合を計画していると回答した。

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