京阪グループが「淀屋橋」「京橋」「中之島」で再開発構想

京阪グループは2018年〜2020年の中期経営計画で、駅と一体となった周辺の再開発事業に乗り出す。計画のメインは、大阪を横断する東西軸上にある淀屋橋、京橋、中之島における拠点整備や駅ビル再生。さらに創業地の天満橋の再整備や中之島線の延伸でIR施設やUSJとの接続も見込む。

» 2018年05月11日 14時55分 公開
[石原忍BUILT]

 京阪電鉄・京阪百貨店など京阪グループの持株会社京阪ホールディングスは2018年5月9日、2026年を目標年次に定めた長期戦略構想を公表した。

 主軸戦略では、「沿線再耕」「観光共創」「共感コンテンツ創造」を掲げ、長期戦略の第一歩と位置付ける中期経営計画(2018〜2020年度)で、京阪沿線の街に、ときめくような新しい価値を創造することに挑戦する。

京橋からベイエリアまでの「大阪東西軸」の復権

 沿線再耕では、京都への玄関口で大阪城に近接する京橋から再生医療拠点を目指す中之島を経て、IR計画のあるベイエリアに至る次代の大阪にとって重要な都市軸である「大阪東西軸」の復権を標ぼうする。具体的には、京阪線の主要駅「淀屋橋」「京橋」「中之島」の拠点開発に着手する。

大阪東西軸復権 出典:京阪ホールディングス(クリックで拡大)

 淀屋橋では「京阪御堂筋ビル」などの資産を活用した開発を計画。京阪線最大のターミナル京橋では、駅ビル再生を起爆剤に、大阪ビジネスパークや大阪城など周辺エリアを含めた街の回遊性を高める街づくりを行う。中之島は再生医療拠点やアゴラ構想のある4丁目地区、なにわ線筋と関西国際空港との直結、さらに社有地活用を含めたエリアの活性化を推進する。将来的には、京阪グループ創業の地である天満橋の再開発と中之島線延伸の実現も見据える。

 また、駅整備では、2018年に京阪線で乗降客数第3位の「枚方市駅」を中核市の“顔”としてふさわしい駅へ再生。駅直結の社有地再開発を、2018年度予定の都市計画決定に併せて本格始動させる。

リニューアル後の枚方市駅中央口コンコースイメージ 出典:京阪ホールディングス(クリックで拡大)

 観光共創は、成長する観光市場を背景に、京阪グループの総合力を発揮して地域と観光を共創する。京都駅前・四条河原町・三条の3拠点に重点を置き、京都駅前で中期計画期間内に京阪グループの旗艦ホテル「THE THOUSAND KYOTO(ザ・サウザンド キョウト」を2019年1月に開業。駅周辺には他に2つのホテルを新規出店し、エリア内で約1500室の客室を確保する。商業エリアの四条河原町では「BIOSTYLE」のフラグシップ複合施設を2019年に出店する。長期的には、三条駅前に、観光・商業・交通機能を集約し、東山観光の拠点を目指す。

 鉄道では、京都の代表的観光地の洛北〜東山〜伏見・宇治を結び、観光ゴールデンルートを確立。ルート中心の東山エリアの三条に加え、洛北への玄関口出町柳、中書島で再整備を予定する。

 共感コンテンツ創造は、四条河原町の食・美容・宿泊を提供するBIOSTYLE施設を起点に拡大展開する。

 他に、鉄道事業では、2017年度のインバウンド収入11億円を中之島線延伸や京都市内交通ネットワーク強化で、2020年には20億円までに引き上げる。不動産事業では、マンション事業で厳選しながら用地取得を行い、子会社化したゼロ・コーポレーションとも連携し、まちなか戸建事業を強化。2019年12月に竣工する虎ノ門1丁目再開発への参画をはじめ、沿線外でも不動産開発やビル取得を強化する。流通業では、地域No.1をめざし、京阪シティモール、くずはモールなどを順次リニューアル。無印良品とコラボレーションする枚方市駅を皮切りに、駅と一体となった商業開発を進めていく。

 中期経営計画3カ年の総投資額は1000億円を見込む。このうち、沿線再耕、観光共創、共感コンテンツ創造には500億円を投じる。

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