スマホで盛土の現場を動画撮影するだけで土量を計測、日立建機メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2018(1/2 ページ)

日立建機と日立ソリューションズは、スマートフォンの動画撮影などを活用し、土木工事で発生する土の体積(土量)を簡単かつ定量的に把握することができるサービスを共同で開発し、2018年10月から提供を開始する。

» 2018年08月23日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]

 日立建機と日立ソリューションズは、Android OS搭載のスマートフォンで、土量を算出し、手軽に日々の進捗管理を行えるサービスを開発。2018年秋のサービス提供に先立ち、2018年7月18〜20日に東京ビッグサイトで開催された「第3回i-Construction推進展」で実演デモンストレーションを行った。

スマホで計測対象を動画撮影するだけで、自動で土量を算出

 新サービスは、日立建機の持つ施工現場のノウハウや現場ニーズの把握力と、日立ソリューションズの位置情報に対する技術力と課題解決力を組み合わせることで開発された。

 使用機器は、動画撮影と計測結果の確認に必要なAndroid OS搭載のスマホと、高精度に撮影した位置情報を取得するための低価格のGNSSアンテナのみ。専用アプリケーションのダウンロードおよびネットワーク型RTK(VRS)補正のデータ配信サービスを契約することで、利用が可能となる。

スマホ上に表示される算出された土量

 土量算出までの手順はまず、現場管理者が、Android OS専用アプリケーションで計測対象を動画撮影するだけで、自動で高精度な位置情報が付いた画像データが生成される。画像データは、クラウド上で3次元の点群データに変換され、体積を算出。計算されたデータが現場管理者のスマホに送信されることで、現場にいながら計測対象の3次元データと土量の計測結果を確認することができる。

土量の自動計測までの流れ 出典:日立建機/日立ソリューションズ

 このサービスにより、これまで目視によって“定性的”に把握していた土量が、日々“定量的”に把握することが可能になり、現場管理者はより的確な進捗管理に基づいて、段取りの検討などが行える。最近、起工測量や検査などで導入が進んでいる「ドローン」や「高性能レーザースキャナー」を用いた測定方法に比べても、運用コストが抑えられ、専用機器や専門的な知識、経験なども要らず、誰でも日々の進捗管理が行えるようになる。

スマホに接続されたGNSSアンテナ

 サービスは2018年秋に、日立建機は「Solution Linkage Survey(ソリューション リンケージ サーベイ)」として、日立ソリューションズでは「GeoMation スマートフォン活用3D計測ソリューション」として提供をスタートさせる。

 両社では、今後の展開として、土量算出サービスで計測した3次元データと、3次元の設計データの比較をクラウド上で行い、その結果をスマホで現場にいながら確認できる機能の提供も、2019年春をめどに計画している。

 同展では、山間部などの通信環境が厳しい施工現場で、モバイル通信環境を改善・拡張するソリューション「Solution Linkage Wi-Fi(ソリューション リンケージ ワイファイ)」の紹介も行った。

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