空気圧式の“人工筋肉”を搭載したマッスルスーツ3タイプ、鉄筋工など前屈みの作業をサポートアシストスーツ(1/2 ページ)

PALTEKは、イノフィスが開発した空気圧式アシストスーツ「マッスルスーツ」シリーズに、導入しやすい低価格化・軽量化を図った「Edge」モデルが新たに加わり、販売を開始した。マッスルスーツは、これまでに3400台以上が導入されており、今後引き合いの多い建設業界にも本格的にPRしていく。

» 2018年09月13日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]

 PALTEKは、東京理科大学発のベンチャー企業イノフィスが開発した装着型の作業支援ロボット「マッスルスーツ」のライアンアップに「マッスルスーツ Edge(エッジ)」を加え、2018年9月から販売を開始した。2018年9月11〜14日に東京ビッグサイトで開催された「国際物流総合展2018」で各モデルの紹介が行われた。

電力もガスも使わず、空気を動力にする補助スーツ

軽量化を図った「マッスルスーツ Edge」=9月11日、国際物流総合展2018

 腰補助用マッスルスーツは、東京理科大学教授 工学部 機械工学科・小林宏教授が2001年から開発に着手した人工筋肉を使用したウェアラブルロボット。当初は、障がいやマヒのある方を対象にした腕を補助する装置として企画されていた。

 2006年には腕補助装置の試作品を工場で検証するうち、従業員の多くが腰を痛めていることに着目。腰部を補助して作業時の身体的な負担軽減を目的にしたウェアラブルロボットとして開発を再スタート。2013年に実用化のめどが立ち、大学発のベンチャー企業イノフィスを設立して2014年から発売。これまでに介護施設をメインに、製造や建設の現場でも、3400台以上が導入されているという。

 その後、数度にわたるモデルチェンジを経て、外部供給やスイッチ操作の廃止など扱いづらい部分を見直し、スタンドアロン化に成功。2018年9月には軽量かつ低価格を実現した「Edge」モデルがシリーズに追加され、全3種類となった。現行のモデルは、補助力最大のハイエンドタイプ「マッスルスーツ Power」、スタンダートタイプ「マッスルスーツ」、今回加わった普及版「マッスルスーツ Edge」。

 全てのモデルの動力は、電力やガスなどではなく、自転車の空気入れに似たポンプで圧入して膨らむ“人工筋肉”が採用されている。空気注入は30回ほどで完了し、1日の作業であれば十分空気は持つ。

左からマッスルスーツ Power、マッスルスーツ、マッスルスーツ Edge 提供:PALTEK
マッスルスーツ Edgeを着用しての持ち上げ動作
マッスルスーツの手動式空気入れ格納部

 背中のフレームに内蔵される人工筋肉は、筒状のゴムチューブをナイロンメッシュで包み、両端を金属で固定しただけのシンプル構造。長さ30cm(センチ)、重さ130g(グラム)と軽量コンパクトながら空気を注入することで、最大200kg(キロ)の強い収縮力を発揮する。

 仕組みとしては、人工筋肉が収縮することで、人工筋肉と腿フレーム上部につながったワイヤが引っ張られ、背中のフレームを起こす。その際に発生する反力を腿パッドが支える。回転軸が2カ所にあるため、動作は滑らか。

 各モデルの違いは、マッスルスーツ Powerは、手動式空気入れ以外にもコンプレッサーによる外部供給が可能。人工筋肉も、4本を備え、補助力も最大35.7kgf(140Nm)。スタンダードのマッスルスーツは、補助力最大25.5kgf(100Nm)で、タイトフィットと、着用時の歩行を楽にする腿パッドと脚の間に遊びを設けたソフトフィットの2タイプから選択できる。

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