鉄骨並みの耐久性を保有する木質集成材×炭素繊維「AFRW」を建築物へ初導入

前田建設工業は、帝人が開発した鉄骨並みの強度を有する高機能繊維の複合素材「AFRW(Advanced Fiber Reinforced Wood)」を建築物に初適用した建築プロジェクトを2018年10月に始動させる。対象となる建築物は、2018年度期末の完成を目指す、帝人の東京研究センター内の集会場。

» 2018年09月28日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]

 前田建設工業は、帝人が開発した木質集成材と炭素繊維から成る新素材「AFRW」を建築物の構造材として実用化するプロジェクトを共同で進めている。第1弾として、2018年に創立100周年を迎える帝人に合わせ、東京都日野市にある東京研究センター内で2018年10月から着工する集会場へ建築物で初めて適用する。

都市型木造建築物の可能性を広げる高耐久の「AFRW」

今回採用のAFRW 提供:前田建設工業

 AFRWは、帝人が2015年に開発した炭素繊維などの高機能繊維「テナックス」と木材の繊維方向を平行に揃えて接着した集成材を融合させた新しい建材。集成材の両端部に炭素繊維を組み合わせることで、木材の2倍以上の曲げ剛性を有することが実証されている。

 建物の“梁”(はり)などに活用すれば、木の良さはそのままに、形状や長さも選べるため、高い意匠性を保持したまま、鉄骨並みの耐久性を付与させることができる。将来的には木造の大空間建築物や中層ビルなど、さまざまな用途への導入が期待されている。

 今回の物件は、帝人とともに取り組んでいるAFRW実用化に向けた共同プロジェクトの一環として、2018年5月の第三者機関による材料評定、同年7月の国土交通省大臣による認定を経て、建築物を対象にした実用化第1号として導入する。

 建設する集会場は、今までの枠を超えた強い“木”をみせることをコンセプトに、外観は従来の木造では困難だった下階よりも上階が5m(メートル)も張り出している「オーバーハング」の建築物を設計した。内観も、木材のぬくもりでストレスの低減を図るとともに、室内に柱を設置せず、自然光を効果的に採り込むことで、開放的で快適性の高い空間を創出する。建設工事では、前田建設工業の他、高知大学 構造工学研究室の助言・協力も得るという。

東京研究センター内で2018年10月から着工する集会場の完成パース 提供:前田建設工業

 AFRWのプロジェクトは、国土交通省が推進する先導的な設計・施工技術が導入される木造建築物の建設を支援する「2017年度サステナブル建築物等先導事業木造先導型木造実験棟」に採択されている。竣工後には帝人と共同で、実使用状況下での居住性の検証やAFRWの接着安定性、振動時の耐久性などについて、7年間にわたり実証実験を行い実践的な知見を蓄積する。AFRWの実用化は2020年を目指す。

左は5mものオーバーハングを強調した集会場の外観、右は先端にも柱がない自由度の高い空間の内観 提供:前田建設工業

 前田建設工業では、林業の活性化や木の使用による森林健全化で温暖化防止、地震による建築物の揺れを低減するための木質構造での軽量化など、さまざまな社会課題解決のカギとして、近年「木」に注目が集まっていること受け、今後市場の拡大が予測される都市型木造建築にも活用を広げていくとしている。

 帝人によると、これまでにAFRWは、2017年9〜10月に開催された「えひめ国体・大会」のおもてなし北側ゲートの梁材としても採用されている。この際は、地元愛媛県産のスギ材を使用した集成材を炭素繊維複合材料で補強したAFRWが使用された。この物件は、建築基準法に基づく審査を経て導入された初の事例となったという。

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