確認申請ソフトの検討などを進める“bSJ”が提案するBIMによる確認申請の6ステップbuildingSMART International Summit,Tokyo(1/4 ページ)

「buildingSMART International Summit,Tokyo」が2018年10月に開催された。プログラムの中から、buildingSMART Japan内の「意匠設計小委員会」が取り組んでいるデジタル確認申請に関する講演をレポートする。

» 2018年12月12日 14時00分 公開

 BIMの標準化や利用を促進する国際標準化サミット「buildingSMART International Summit」が6年ぶりに東京で、2018年10月に開催された。

 本稿では、赤坂インターシティAIRで行われた最終日のプログラムから、「デジタルデータによる建築確認申請」と題したbuildingSMART Japan(以下、bSJ)内に設置された「意匠設計小委員会」でのBIMによる確認申請に向けた取り組みを取り上げる。登壇者は、日建設計 設計部門 3Dセンター室長代理 BIMマネジャー 一級建築士・安井謙介氏。

BIMによる確認申請には何が必要か?

日建設計・安井謙介氏

安井 bSJ内の意匠設計小委員会は、建築委員会の傘下にあり、申請者である設計事務所、施工会社の他、確認検査機関、ソフトウェアベンダー、研究機関など、40近い企業・法人の他、オブザーバーとして国土交通省も参画している。いわゆる建築確認申請に関わるステークホルダーが集まり、BIMの建築確認を議論する場となっている。

 国内で建築物を建てる際に避けられない「建築確認申請」は、1999年の法改正により、特定行政庁に加え、民間の指定確認検査機関でも審査を行うことができるようになり、最近では民間で9割近くもの確認審査が行われている。

 今回のテーマである、建築関係申請手続きの電子化への取り組みは、2002年までさかのぼる。2014年からは、PDFによる電子申請がスタートした。その後、2017年には国内初のBIMを活用した確認申請が交付されるに至った。

 建築確認申請の電子化が、16年ほど前から勧められていることになるが、なぜデジタル化が必要なのか?再度考えてみたい。

日本における電子データによる建築確認申請の経緯
なぜ、確認申請のデジタル化が必要か

安井 建築のサイクルを考えると、設計、施工、維持・管理(ファシリティマネジメント)など、それぞれのプロセスでは紙からデジタルへの移行が進んでいる。しかし各プロセスに、紙の手続きが入ってしまうと、そこで情報の欠落が発生する。業界全体でこの情報ロスを無くし、上流のデータを活用することで、全体の生産工程を効率化させ、品質の向上までつなげるのがデジタル化のねらいだ。

 既にPDFによる確認申請が運用されているが、これは紙がPDFになっただけなので、十分な効果を発揮しているとはいえない。例えば、床面積に着目してみると、紙図面やPDFだけでは床形状と面積で整合性が取れないが、デジタルデータ上で形状と面積が直接共有されれば、算出値が一致し、審査が効率的になる。

 BIMというデジタル技術を用いることで、これまで2次元で行っていた申請審査が3次元情報で行うことが可能になる。BIMによる設計が徐々に普及しつつある現在、わざわざ2次元へと次元を落として審査するよりも効率的だ。デジタルデータによるBIM建築確認審査により、申請者、審査社がメリットを引き出せないかという部分が、委員会でもこれまで検討されてきた。

建研の電子建築確認審査プロとシステム「ステップ2+」
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