掘削土量を3割削減/工期を2割短縮する新杭工法、建物の自重を支える“鉛直支持力”が3割増す

大成建設は、システム計測と共同で、杭の中間部と底部の杭径を大幅に拡大した大口径多段拡径の場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE杭工法」を開発した。

» 2019年04月10日 06時12分 公開
[BUILT]

 大成建設は、システム計測と共同で、杭の中間部と底部の杭径を大幅に拡大した、大口径で多段拡径の場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE杭工法」を開発した。

最大径を5.5メートルまで拡大し、杭1本当たりの鉛直支持力が3割増大

 近年は、都市部でのビル超高層化や長スパン化に伴い、建物自体が重くなり、建物の自重や地震時に発生する重力方向の荷重を支える“鉛直支持力”の要求が増大している。これまでは、建物の柱ごとに複数の拡底杭を打設する工法や大断面の連続壁を構築する「地中連壁杭工法」を用いて施工していたが、掘削残土が大量に発生してしまい、工期が長期化するという問題があった。

T-EAGLE杭の概要 出典:大成建設

 そこで両社は、場所打ちコンクリート杭の中間部と、底部の杭径を約2倍に拡大した拡径部を設けることで、杭鉛直支持力の増大を可能にする新工法を開発した。新たなT-EAGLE杭工法では、杭の中間に拡底部と同一径の中間拡径部を設けている。そのため、支圧面積が増加し、杭1本当たりで、鉛直支持力が3割増大する。

 また、中間拡径部および拡底部の最大径を5.5メートルにまで拡大することで、支圧面積をさらに増加させて鉛直支持力を6割以上も増強することができるという。その結果、杭1本当たりの鉛直支持力は、長期で80MN(ミリニュートン)以上を確保できるため、杭の施工本数の削減や支持層内での杭長を短くすることが可能となる。

 T-EAGLE杭工法で(拡大径5.2メートル)1本施工するケースと、従来の拡底杭(拡大径4.5メートル)で2本施工する場合の試算結果を基に、掘削土量と工期を比較すると、掘削土量は3割削減。工期では、2割相当に当たる2〜3日、工事期間が短くなる。

 現場施工試験では、杭の施工手順の他、施工管理手法を確立し、杭の形状、寸法、品質などを確認するとともに、住宅/建築に関する基準認証と試験研究機関のベターリビングから建設技術審査証明(BL審査証明-043)を2019年1月に取得している。

左から中間拡大掘削バケット(最大径5.5メートル)、杭形状の調査 出典:大成建設
項目 適用範囲
中間拡径部および拡底部の最大径 5.5メートル
中間拡径部の最大掘削深さ 65メートル
拡底部の最大掘削深さ 90メートル
コンクリート設計基準強度 18〜80N/mm2

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