ビジネスプリンタの選び方――“省エネ”と“多機能”を両立したインクジェット複合機編:オフィス機器購入ガイド(2/2 ページ)
低消費電力、多機能、省スペース、そして低価格と、SOHO/SMB環境で重宝するのがインクジェット方式の複合機だ。2011年はA3カラー対応の選択肢が増えた点に注目したい。
インクジェット複合機のコストパフォーマンスを“A3”にも
DTPやデザイン、設計など、A3サイズでの印刷を求めるビジネスシーンは依然として少なくない。
ただし、A3対応の複合機には、プリンタやFAXに加えてA3サイズを読み込めるスキャナが搭載される(一部モデルではA4対応)ため、例えばレーザー/LED方式でFAX付きのA3カラー複合機となると、かなりの高額になる。よって、本体を購入するのではなく、リース契約を結んで毎月一定額を支払ってA3対応させている職場も多い。
そんな中で、唯一ともいえるお手ごろ価格のA3カラー複合機がブラザーのインクジェット複合機「ジャスティオ MFC」シリーズで、ここ数年はひとり勝ちの状態だった。ところが2010年末から2011年にかけて、日本HPやエプソンもA3インクジェット複合機を投入してきたことで、状況は大きく変わってきている。
競争が始まれば、性能向上や機能追加などが加速され、コストパフォーマンスの向上も期待できるので、今後はA3インクジェット複合機がプリンタ市場でさらに注目度の高いカテゴリーになりそうだ。ユーザーにとっても選択肢が増えることはうれしい。
A3インクジェット複合機の注目機種
・ついにA3インクジェット複合機へ参入――エプソン「PX-1700F」「PX-1600F」
満を持してエプソンが投入したA3インクジェット複合機は、「PX-1700F」と「PX-1600F」の2モデルだ。実売価格はPX-1700Fが5万円前後〜5万円台後半、PX-1600Fが3万円台後半〜4万円台前半と1万円以上の差が見られる。
2機種の大きな違いは最大給紙容量だ。PX-1700Fが上下2段のカセットにより最大500枚(250枚×2段)の大容量給紙に対応する一方、PX-1600Fは250枚(1段)の給紙に限られる。また、両面読み取りADFと自動両面印刷を搭載するのはPX-1700Fのみだ(PX-1600Fは片面読み取りADF)。
それ以外の主なスペックは共通化されている。4色顔料インクを採用し、印刷速度はカラーで約8ipm、モノクロで約15ipmを確保。無線LAN/有線LANを標準装備する。
ライバルのブラザーとの大きな違いは、印刷可能な用紙サイズがA3ノビまでに対応していることだろう。A3ノビサイズではトンボが引けるため、DTPやデザイン業務では有力な選択肢が登場したといえるだろう。
・安さが魅力のA3ノビ対応機――日本HP「HP Officejet 7500A」
日本HPもA3対応のFAX付きインクジェット複合機「HP Officejet 7500A」を販売中だ。特徴は実売価格2万円前後〜2万円台後半という安さで、A3対応のADFが搭載され、A3ノビまで印刷できるモデルとしては最安値だろう。とにかく導入コストを抑えたいならば要注目だ。
インクは顔料ブラックと染料カラーの4色構成を採用し、印刷速度はカラー7ipm、モノクロ10ipmとしている。自動両面印刷には対応せず、最大給紙容量は150枚と少ないが、有線LAN/無線LAN、ADFは標準搭載だ。
・老舗は豊富なA3対応のバリエーション――ブラザー「MFC-J6910CDW」「MFC-J6710CDW」「MFC-J5910CDW」
A3インクジェット複合機の元祖メーカーであるブラザーは、「JUSTIO PRO(ジャスティオプロ) MFC-J6910CDW」「JUSTIO(ジャスティオ) MFC-J6710CDW」「JUSTIO MFC-J5910CDW」の3モデルをラインアップする。
MFC-J6910CDWは「JUSTIO PRO」シリーズに属する製品だ。3年間無償保証(最大5年間保証)の高い耐久性や専用サポート窓口の設置といった信頼性を特徴とするハイエンドモデルとなっている。A4サイズまでなら1パスで両面スキャンできる高性能なADF、自動両面印刷、無線LAN/有線LAN、500枚(250枚×2段)の給紙カセットなど、プロシリーズらしい充実の装備だ。印刷速度はカラーが約10ipm、モノクロが約12ipmと速い。
ミドルレンジのMFC-J6710CDWは、プロシリーズならではの付加価値こそないものの、主なスペックはMFC-J6910CDWに準ずる。ADFが1パス両面印刷に対応しない以外は、ハイエンドモデルに見劣りしない構成だ。
エントリーのMFC-J5910CDWは、A3対応プリンタにA4対応のADFとA4対応のスキャナを乗せたユニークな仕様だ。給紙容量も250枚に限られるが、自動両面印刷、無線LAN/有線LANといった機能は備えており、印刷速度も上位機種と変わらない点に注目したい。
実売価格はMFC-J6910CDWが9万円台後半〜10万円台半ば、MFC-J6710CDWが4万円前後〜4万円台半ば、MFC-J5910CDWが2万円台後半〜3万円前後だ。プロシリーズは手厚いサポートのぶん、差額が大きい。下位2モデルのコストパフォーマンスは良好といえる。
今回紹介したA3インクジェット複合機(1) | |||
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メーカー名 | エプソン | エプソン | 日本HP |
製品名 | PX-1700F | PX-1600F | HP Officejet 7500A |
印刷解像度 | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi | 4800×1200dpi |
インクの種類と色数 | 顔料4色 | 顔料4色 | 染料3色+顔料黒 |
プリント速度(A4カラー/A4モノクロ) | 8ipm/15ipm、34ppm/34ppm | 8ipm/15ipm、34ppm/34ppm | 7ipm/10ipm、32ppm/33ppm |
自動両面印刷 | 標準対応 | − | − |
ネットワーク対応 | 標準対応(有線LAN/無線LAN) | 標準対応(有線LAN/無線LAN) | 標準対応(有線LAN/無線LAN) |
FAX | SuperG3対応 | SuperG3対応 | SuperG3対応 |
ADF | 標準搭載(両面読み取り) | 標準搭載 | 標準搭載 |
給紙枚数(標準) | 500枚 | 250枚 | 150枚 |
最大給紙枚数 | 500枚 | 250枚 | 150枚 |
スキャナ撮像素子 | CIS | CIS | CIS |
スキャナ光学解像度 | 1200×2400dpi | 1200×2400dpi | 4800×4800dpi |
本体サイズ | 559×418×365ミリ | 559×418×287ミリ | 606×426×293ミリ |
重量 | 約18.9キロ(消耗品含まず) | 約15.6キロ(消耗品含まず) | 約14キロ |
消費電力 | 動作時約20ワット、スリープモード時約4.4ワット | 動作時約20ワット、スリープモード時約4.2ワット | 印刷時20ワット、待機時6ワット、スリープモード時4.1ワット、電源オフ時0.75ワット |
実売価格 | 5万円前後〜5万円台後半 | 3万円台後半〜4万円台前半 | 2万円前後〜2万円台後半 |
今回紹介したA3インクジェット複合機(2) | |||
---|---|---|---|
メーカー名 | ブラザー | ブラザー | ブラザー |
製品名 | MFC-J6910CDW | MFC-J6710CDW | MFC-J5910CDW |
印刷解像度 | 6000×1200dpi | 6000×1200dpi | 6000×1200dpi |
インクの種類と色数 | 染料3色+顔料黒 | 染料3色+顔料黒 | 染料3色+顔料黒 |
プリント速度(A4カラー/A4モノクロ) | 10ipm/12ipm | 10ipm/12ipm | 10ipm/12ipm |
自動両面印刷 | 標準対応 | 標準対応 | 標準対応 |
ネットワーク対応 | 標準対応(有線LAN/無線LAN) | 標準対応(有線LAN/無線LAN) | 標準対応(有線LAN/無線LAN) |
FAX | SuperG3対応 | SuperG3対応 | SuperG3対応 |
ADF | 標準搭載(1パス両面読み取り) | 標準搭載 | 標準搭載(A4サイズ) |
給紙枚数(標準) | 501枚 | 501枚 | 250枚 |
最大給紙枚数 | 501枚 | 501枚 | 250枚 |
スキャナ撮像素子 | CIS | CIS | CIS(A4サイズ) |
スキャナ光学解像度 | 2400×2400dpi | 2400×2400dpi | 2400×2400dpi |
本体サイズ | 540×489×331ミリ | 540×489×331ミリ | 514×461×260ミリ |
重量 | 約18.5キロ(消耗品含む) | 約18.2キロ(消耗品含む) | 約13.6キロ(消耗品含む) |
消費電力 | コピー時約28ワット、待機時約8ワット、スリープ時約4ワット | コピー時約26ワット、待機時約7ワット、スリープ時約3.5ワット | コピー時26ワット以下、待機時6.5ワット以下、スリープ時約2.5ワット |
実売価格 | 9万円台後半〜10万円台半ば | 4万円前後〜4万円台半ば | 2万円台後半〜3万円前後 |
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