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電気料金値上げに「対抗」するにはスマートグリッド(1/4 ページ)

電気料金の先行きが怪しい。長期的な見通しは難しいものの、料金が下がる見込みは薄いだろう。電力会社に頼らず、電気料金を下げる方法はないだろうか。2012年に入って改善が急速に進む「エネファーム」に焦点を当てた。

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電気料金値上げに「対抗」するには
自宅で発電する方法

 原子力発電所の運転停止後、電力会社は火力発電の燃料費がかさむことを理由に、電気料金を値上げしようとしている。

 どう対応すればよいのだろうか。節電や契約アンペア数の引き下げなどさまざまな策がある。さらに自宅を「発電所」に変えることもできる。太陽電池を屋根に敷き詰めることは珍しくなくなってきており*1)、さらにリチウムイオン二次電池を据え付けて停電に対応する動きも始まっている。

*1) 住宅金融支援機構の調査によれば、新築一戸建て住宅の6世帯に1世帯以上が太陽光発電システムを導入している(関連記事)。

 太陽光とは違う対策もある。家庭用燃料電池「エネファーム」だ(図1)。都市ガスを供給すると、内部で水素を作り出し、空気中の酸素と静かに反応して、電力と熱を取り出すことができる装置だ。太陽電池と比べたときのメリットは、悪天候や夜間であっても利用可能なこと、熱(温水)を同時に得られることだ。


図1 創エネ住宅のイメージ 太陽光、太陽熱に加えてエネファーム(写真右下)とSOFC(新型エネファーム、写真左下)を配置している。2012年3月に開催された「第8回国際水素・燃料電池展」(FC EXPO 2012)でJX日鉱日石エネルギーが展示した模型。

 コスト面はどうだろうか。ガス料金は多少増える。ただし、4人家族が一戸建てで生活した場合、電力と給湯のかなりの部分を賄えるため、電力値上げ前に既存のエネファームを設置したとしても、年間5〜6万円程度、光熱費が下がるという。これは東京ガスによる試算値だ。

 各社が販売するエネファームは270万円程度と高額だ。そのため、政府は補助金(民生用燃料電池導入支援補助金)を用意している(「急拡大するエネファーム需要に応えて政府補助金が復活」記事)。4月以降の2012年度の補助金予算化には国会の審議が必要なため、今後の補助金の額は確定していない。予算総額は96億円(1台当たり補助金70万円)が見込まれている(経済産業省のPDF資料)。この他、多数の地方自治体が国の補助金と併給できる補助金政策を採っている。

 さらに、太陽光発電システムとエネファームを系統連系して設置する「ダブル発電住宅」も良いだろう。「太陽光発電の余剰電力買取制度」の対象となるからだ(「太陽光の買い取り価格は据え置き、経産省が発表」(記事)。ダブル発電を使うと、電気代を「マイナス」にすることも可能だという。

 エネファームの技術革新はどうなっているのだろうか。2012年に入り、新技術を採用したエネファームが続々と製品化されている。

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