住宅から工場まで幅広く対応、富士ソフトがエネルギー管理サービスの提供を開始:エネルギー管理
「エネルギー管理システム」と呼ぶものの中でも、管理する拠点にサーバを設置せずに、データをすべてインターネット上のサーバに送るものが増えてきた。富士ソフトはマイクロソフトのWindows Azureを利用したサービスの提供を始める。
富士ソフトは2012年4月17日、建物全体の消費電力量などを管理するサービス「FSGreen EMS」の提供を始めた。マイクロソフトのクラウドコンピューティング基盤「Windows Azure Platform」にデータを集める形にして、建物に専用サーバを設置する必要をなくした点が特徴。同社は2011年4月から、日本マイクロソフトと共同でEMS(エネルギー管理システム)の実証実験を続けながら、FSGreen EMSの開発を進めてきた。
また、住宅、オフィス、店舗、工場と応用範囲が広いことも特徴。オフィス、店舗、工場に向けたサービスの場合、初期導入費は250,000円から、月々の運用費は25,000円から。住宅向けサービスの場合は、住宅メーカーを通して住宅を購入する個人にサービスを提供する形を想定しており、サービス提供価格は住宅メーカーとの個別相談となる。
住宅向けサービスと、オフィス、店舗、工場向けのサービスでは提供する機能が異なる。住宅向けサービスでは、太陽光や風力を利用した発電システムによる発電量、蓄電量の表示、消費電力値の表示、売電金額の表示が可能。また、各部屋に取り付けたセンサーを利用して、それぞれの部屋の温度を表示できる。
住宅向けサービスにはすでに採用実績がある。2012年3月から益田建設が販売しているHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)「i-HEMS」は、FSGreen EMSを蓄熱床暖房や給湯の制御もできるようにカスタマイズしたものを利用している(図1)。
オフィス、店舗、工場向けサービスでは、各地に点在する拠点の消費電力量や温度センサーの計測値などの情報を集約し、一覧可能にする機能を提供する(図2)。さらに、従業員が使うパソコンの稼働台数を検知して表示する機能も持つ。
温度センサーのほかに、照度センサーの計測値を収集する機能も備える。さらに、動画カメラの映像を表示することも可能。例えば、特定の部分の気温が上がった時に、原因を探るためにカメラでその部分の様子を確認するといったことが可能だ。
ピークカットに役立つ機能も提供する、あらかじめ設定しておいた消費電力量を超えたときに、管理者に電子メールで警告を出す機能を持つ。
データの確認に専用の表示パネルを用意する必要はなく、Windows Azure上のFSGreen EMSにWebブラウザでアクセスすれば、データをさまざまな形で確認できる。
いまのところは、消費電力量や気温、照度といったデータをまとめて表示するだけだが、富士ソフトは今後、温度や照度に応じて空調や照明を自動制御することも視野に入れているという。
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