街全体が消費する電力量の1.7倍を発電、宮城県にスマートシティが登場:エネルギー管理
スマートハウスで構成する「スマートシティ」の実験や分譲が始まっている。積水ハウスは、街全体で消費する電力を賄うだけでなく、電力会社への売電も可能なスマートシティを作った。
積水ハウスが宮城県黒川郡で開発を進めていたスマートシティ「スマートコモンシティ明石台(あかいしだい)」への入居が始まった。街全体が消費する電力量以上の発電能力を持つことが特長。分譲区画は431戸。
街を構成する住宅全戸に太陽光発電システムを搭載し、2〜3割の住宅を燃料電池、蓄電池、HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)も搭載するスマートハウス「グリーンファースト ハイブリッド」とすることで売電まで可能な街を作ることに成功した。
同社の試算によると、1年間に街全体が消費する電力量は1,469MWhで、各戸が備える発電システムによる発電量は2,508MWh。消費量の1.7倍の電力を発電する計算になる。余剰電力は電力会社に売電可能。
スマートコモンシティ明石台の発電能力の基盤となるグリーンファースト ハイブリッドは、同社が2011年8月に発売したスマートハウス。燃料電池からの電力を使うことを最優先とし、足りないときは太陽光発電システム、蓄電池、電力会社からの電力という優先順位で電力を賄う(図1)。
日中に住宅で消費する電力としては可能な限り燃料電池が発電する分を使い、太陽光発電システムが発電する分は売電する。電力会社からの電力を積極的に利用するのは電気料金が安価な深夜のみ。この時間帯に蓄電池に充電し、太陽電池が発電しない夕方から夜間に消費し、電力会社からの受電量を抑える。
蓄電池の電力は停電時の備えにもなる。200Wを消費する冷蔵庫と、150Wを消費する薄型テレビに加えて、100Wを消費する照明を同時に使用した場合、およそ17時間連続で電力供給を続けられる。
積水ハウスは今後、茨城県古河市、福岡県福岡市、千葉県市原市、神奈川県横浜市、千葉県四街道市などで同様のスマートシティの開発を進める。
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