HEMSを利用してデマンドレスポンス、8月から実証実験スタート:エネルギー管理
政府による節電要請期間に入った。企業、個人問わず節電は出費抑制につながるので関心を持つ人は多い。しかし、目標値を設定した節電要請だけではその気にならない人も多いだろう。8月から、東京電力管内の一部でデマンドレスポンスの実証実験が始まる。
マンション管理などのサービスを提供するファミリーネット・ジャパンは2012年7月3日、同社が提供しているHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)「me-eco(ミエコ)」を導入した世帯(東京電力管内に限る)を対象に、デマンドレスポンスの実験を始めると発表した。対象は大部分がマンション。一部一戸建ても対象としている。総数はおよそ800世帯。実験の期間は2012年8月1日〜9月28日。
実験ではまず、東京電力管内の電力使用状況に応じて、HEMSのユーザーに節電を呼びかけるメールを送信する。その後、対象世帯が呼びかけに応じてどんな節電行動を取ったのかということを調べるアンケートを実施する。同時に、各世帯の消費電力量の推移を調べ、アンケートに現れた節電行動の傾向と、消費電力量の推移を比較分析することで、どのような行為が節電に役立つのかを調べる。調査結果は同社のHEMS製品の開発や、デマンドレスポンスサービスの提供方法を検討する際に利用するという。
今回の実験ではインセンティブも用意している。同社が発行する「ポイント」を支給することでインセンティブとする。このポイントは同社が提供するWebサイトで商品券や図書券と交換可能。
参加者は以下の3点のいずれかに協力するとポイントを得られる。1つ目は節電行動についてのアンケートへの回答。これは、回答するとその都度ポイントを獲得できる。2つ目は節電の呼びかけを受け、節電対象となった時間帯に目標値以上に電力を消費しないこと。3つ目は目標値に対してなるべく消費電力を削減すること。消費電力の削減量に応じてポイントが支給される。2つ目と、3つ目、つまり節電への協力によるポイントの支給は実証実験終了後となる(図1)。
実証実験に利用するHEMS「me-eco」とは、同社が2009年から新築住宅を対象に販売している製品で、住宅全体の消費電力量を計測するほか、分電盤の回路ごとの消費電力量の計測(最大16カ所)といった機能を備え、計測データは同社が管理するデータセンターに送信し、集計、分析する。
データセンターでの分析結果や、消費電力量の推移などのデータはデータセンターにWebブラウザでアクセスすることで確認できる。さらに、スマートフォンなどを使って外出先から空調機器の運転を開始、停止や、照明の点灯、消灯などの操作ができるようになっている。
今回の実験では、参加世帯の消費電力量のデータをデータセンター側で監視、集計することで、支給ポイント数を決定する。
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