太陽光発電と小水力発電を同時に開発へ、千葉県が用地・施設を提供:スマートシティ
県を挙げて「新エネルギー活用推進プロジェクト」に取り組んでいる千葉県が、太陽光発電所と小水力発電所を合計3か所に建設する事業に着手する。県が保有する土地や施設を民間の事業者に提供する方式で、太陽光発電4MWと小水力発電140kW以上を早期に実現する計画だ。
千葉県は保有する土地や施設の中から、今回まず3か所を選んで発電事業者を募集することにした。太陽光発電に適した土地として、富津市にある配管送電線用地(図1)と袖ヶ浦市にある浄水場を提供する。2つの土地を合わせると約7万2000平方メートルの広さで、合計4MW(メガワット)の発電規模を見込んでいる。
さらに今後の拡大が期待される小水力発電にも率先して取り組むため、県が保有するダムの取水場を提供して先行事例にする方針だ。市原市にある工業用水のための取水場に140kW以上の発電機を設置できるようにして、水の流れを利用した小水力発電を可能にする。水量は1日あたり9万立方メートルで安定しており、おおむね一定の電力を発電できる状況にあるという。
太陽光発電の場合には事業者は用地の賃借料を負担するだけだが、小水力発電は用地が10平方メートル程度で済んでしまうため、用地代に加えて発電した電力1kWhあたり5円を支払う契約になる。国の再生可能エネルギーの固定価格買取制度では、発電規模が200kW未満の小水力発電は1kWhあたり34円で買い取ることが決まっている。事業者は差額の29円が収入になる。
3つのプロジェクトは11月21日まで提案を受け付け、12月中旬に事業者を決定して、2013年3月から事業に着手できるようにする。用地の賃借料は単価を確定済みであることから、事業者の選定にあたっては用地を最大限に使って多くの電力を発電できることが決め手になりそうだ。契約期間は固定価格買取制度に合わせて20年が基本になる。
今回提供する3か所の土地と施設は、いずれも県の中西部に位置する(図2)。千葉県は2011年7月に「新エネルギー活用推進プロジェクト」を立ち上げ、民間や地域を巻き込んだ再生可能エネルギーの拡大策を検討してきた。今後も県内の各地で導入事例を増やしていく予定である。
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