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日本初、ヤシ殻を燃料にしたバイオマス発電計画自然エネルギー

新電力のイーレックスがヤシ殻を燃料としてバイオマス発電を始めることが明らかになった。石炭を燃料としている発電設備をヤシ殻を効率よく燃焼させるために改造し、2013年6月から発電を始める予定。

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 今回の計画では、イーレックスが太平洋セメントから譲渡を受けた火力発電設備(高知県高知市)を利用する(図1)。この設備は石炭を燃料としたもので、1997年にJFEエンジニアリングが太平洋セメントに納入したもの。最近は休眠状態になっていた。燃料を石炭からヤシ殻に変えるための工事は6月には終了し、発電を始める予定。最大出力はおよそ20MW。


図1 イーレックスが太平洋セメントから譲渡を受けた火力発電設備。出典:JFEエンジニアリング

 燃料はアブラヤシの実の中にある種子から油を搾り取った後に残る殻だ(図2)。この殻は「パーム・カーネル・シェル」と呼ぶ。パーム・カーネル・シェルはアブラヤシの栽培が盛んなマレーシアやインドネシアなど東南アジアから輸入でき、日本でもすでに燃料として流通している。


図2 今回の計画で燃料として利用するパーム・カーネル・シェル。出典:JFEエンジニアリング

 この設備を製造し、太平洋セメントに納入したJFEエンジニアリングが今回の改造工事を受注した。JFEエンジニアリングによると、この発電設備は「循環流動層ボイラー」というボイラーで燃料を燃焼させるという。

 循環流動層ボイラーとは、簡単に言えばボイラーの下方から高圧の空気を注入して燃料を上方に吹き上げながら燃焼させる方式。燃料が吹き上がって浮遊しながら燃焼するのでムラなく熱が伝わり、効率よく燃焼するという。

 さまざまな燃料が使えるという利点もある。石炭、石油、ガス、木くず、汚泥、廃プラスチック、廃タイヤなど多様な燃料を利用できる。JFEエンジニアリングによると、今回の工事では燃料を投入する部分の形状の変更と、燃料を運ぶコンベアの改造が大きな改造ポイントだとしている。燃料を燃焼させるボイラーはメンテナンスをするだけで、改造せずに流用する。

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