風力発電の事業化リスク低減へ、風の乱れも予測する手法の開発開始:自然エネルギー
大林組は入り組んだ地形における風の乱れまで含めて風況を予測する手法の開発を始めた。完成すれば風力発電の事業化リスクの低減に大きく貢献する。
現在のところ、風力発電設備を建設するときに参考になる情報はNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公開している日本各地の風況データくらいだ。このデータで年間平均風速が毎秒5mを超えれば事業として成り立つ可能性が高いと判断できる。
しかし、NEDOのデータはあくまで目安だ。データを確認した後に時間をかけて実際に風況を測定する必要がある。また、NEDOのデータが「事業として成り立つ可能性が高い」としている場所にはすでに風力発電設備が建っているということも少なくない。
大林組は山間部など、従来は風力発電設備の建設が難しかった場所でも風力発電設備の建設が始まると考え、独自に風況を予測する手法の開発に踏み切った。
新しい風況予測の手法では、山や谷が入り組んでいる複雑な地形の風況も精密に予測することを目指す(図1)。このような場所では山肌に風が当たり、風が乱れて風力発電設備の発電効率が極端に下がることがある。反対に、風力発電に向かないように見える山間部でも、風の乱れがあまり発生しないという場所が見つかる可能性もある。
図1 風況予測を示した画面のイメージ。平均風速を見るとかなり条件が良いように見える場所でも、山や谷が入り組んだ場所では風の乱れが影響して、事業として成り立つ可能性がなくなってしまうこともある。出典:大林組
NEDOのデータのように大まかな目安でなく、ピンポイントで狙った場所の風況を予測することも目指す。実際に風況を確認するときに、確認する場所を減らすことができる。この予測手法が完成すれば、事業としての可能性を探る事前調査のうち、かなりの部分を省けるようになり、風力発電事業のリスクが低くなるだろう。
大林組は手始めに、複雑な地形の風況を実際につかむために、青森県上北郡の社有地と国有林に観測タワーを1基ずつ設置し、風況データの始めた。2014年3月に新しい風況予測手法を完成させることを目指している。
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