アップルがエネルギー戦略を加速、再生可能エネルギーの利用率75%に到達:自然エネルギー
米国のIT企業が再生可能エネルギーの利用を拡大している中で、アップルも急ピッチで対策を進めている。主力のデータセンターに大規模なメガソーラーを建設するなどの施策を実行して、再生可能エネルギーの利用率を2010年の35%から2012年に75%まで高めた。
アップルの最終目標は再生可能エネルギーの利用率を100%にすることで、すでに米国内のデータセンターのほか、カリフォルニア州クパチーノにある本社ビルでも再生可能エネルギーを100%使っている。
全世界のオフィスを含めると2012年の再生可能エネルギーの利用率は75%に達し、2010年の35%から2年間で一気に利用率を引き上げた。2012年にアップルが使用したエネルギーの総量は電力が6億800万kWh、天然ガスが300万therm(熱量の単位)にのぼった。
再生可能エネルギーの最大の導入例は、米国ノースカロライナ州にある「Maiden data center」に見ることができる(図1)。このデータセンターの周囲に20MW(メガワット)の太陽光発電システムを設置したほか、24時間利用できるベース電源としてバイオガスによる燃料電池で10MWの発電が可能になっている。
太陽光発電と燃料電池を合わせた年間の発電量は1億2500万kWhに達し、データセンターの電力使用量1億400万kWhを上回った。ただしアップルは今後もデータセンターの需要が伸びることを想定して、2013年内に太陽光発電システムの規模をさらに20MW増強する予定だ。これにより4200万kWhを加えて年間の発電量は1億6700万kWhになる。
このほかカリフォルニア州にあるデータセンターでも2013年初めに再生可能エネルギーの利用率が100%に到達したほか、オレゴン州とネバダ州に建設中の2つのデータセンターも外部からの調達を含めて100%を再生可能エネルギーで供給する計画だ。
アップルが対象にする再生可能エネルギーは太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5種類である。自社で発電設備を導入することを原則にしているが、導入できない場合には事業者から電力を購入する。
米国ではオバマ大統領が就任した2009年以降、再生可能エネルギーを拡大する「グリーンニューディール政策」が着実に進んできた。特に先端産業であるIT企業に対しては再生可能エネルギーの活用を求める風潮が強まり、アップルやグーグルを筆頭に大手各社が巨費を投じて設備の増強に取り組んでいる。このままでは日本企業との差は広がる一方である。
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