エネルギー地産地消100%に向けて、2020年までにメガソーラーを30か所へ:スマートシティ
全国各地の自治体が独自のエネルギー戦略を打ち出し始めている。豊富な日射量がある山梨県は太陽光発電を中核にして「やまなしエネルギー地産地消推進戦略」のロードマップを策定した。2050年には県内の電力需要を再生可能エネルギーで100%供給できるようにする構想だ。
「やまなしエネルギー地産地消推進戦略」は2つの柱から成り立っている。1つは「省エネルギー対策」によって、2050年までに県内の電力需要を20%削減する。もう1つは「クリーンエネルギーの導入促進」で、2050年までに規模を3倍以上に拡大する。両方の目標を達成すれば、電力需要を100%再生可能エネルギーで供給できる「地産地消」が実現する(図1)。
現在のところ山梨県内の再生可能エネルギーは水力発電が中心で、2011年度の実績で電力需要の40%を供給できる状態にある。県外へ供給している分を除いても28%と高い。ただし水力発電が伸びる余地は限られているため、今後は太陽光発電を急速に増やしていく。
山梨県の甲府市は全国の県庁所在地の中で、年間の日照時間が最も長い。太陽光発電を実施するには極めて恵まれた環境にある。東京電力が甲府市内で2012年1月に運転を開始した「米倉山太陽光発電所」を例に挙げると、1年間の発電効率が16.4%を記録して、通常の太陽光発電の12%をはるかに上回るパフォーマンスを発揮している。
この好立地を生かして、2020年までに県内の戸建て住宅の2割に太陽光発電システムを普及させるほか、メガソーラーを30か所に増やす中期目標を設定した(図2)。2050年には住宅への普及率を5割まで引き上げる。水力やバイオマス、燃料電池も加えると、再生可能エネルギーだけで電力需要を100%カバーできるようになる。
ただし目標を達成するためには、従来の見通しを上回るペースで太陽光発電を拡大しなくてはならない(図3)。具体的な施策はこれからだ。山梨県は土地の8割が山岳地帯にあり、メガソーラーも起伏のある場所に建設することを想定する必要がある。稼働中の米倉山太陽光発電所も丘陵を造成して太陽光パネルを設置した。環境への影響や住民への説明を含めて、地元の自治体の強力なサポートが欠かせない。
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