破産したイーエムシーのBEMS事業、承継先がノーリツ鋼機の子会社に決まる:補助金
3月に破産したイーエムシーのBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の事業を承継する会社が決まり、5月7日からサービスを開始した。写真プリンタや環境関連機器を製造・販売するノーリツ鋼機の子会社「NKワークス」が101か所の導入済みシステムを含めて受け継ぐ。
BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の補助金を運営するSII(環境共創イニシアチブ)が5月7日にウェブサイトで次のように発表した。「3月15日のイーエムシー株式会社の破産手続開始により、今後の継続は困難と見込まれていた同社のエネルギー管理支援サービス業務については、同じコンソーシアム事業者であるNKワークス株式会社に承継され、同社を幹事会社として継続されることとなりました。」
経済産業省が300億円の予算で2012年度からスタートしたBEMSの補助金制度では、21社のアグリゲータが選ばれて、システムの設置から補助金の申請までを担当している。その中の1社だったイーエムシーが突然2013年3月15日に自己破産状態になり、業界関係者に衝撃が走った。
イーエムシーは21社のアグリゲータの中でも補助金の申請数が多く、自己破産時点で101か所の事業所にBEMSを導入していた。この導入済みシステムの運用を含めて事業の継続が危ぶまれていたが、イーエムシーの出資会社でもあったNKワークスがアグリゲータになって受け継ぐことになった。
NKワークスは写真プリンタなどを製造・販売するノーリツ鋼機の子会社で、BEMSやLED照明などの省エネ関連機器を取り扱っている。BEMSに対応する製品にはデマンドコントローラの「NK-15」(図1)があり、5月7日の時点で補助金の対象になった。空調機器の制御を特徴にして、契約電力が100kW以上の事業所向けに販売する。
BEMS事業を承継するNKワークスはイーエムシーに9.4%出資していたほか、製品の一部を納入していた。イーエムシーの破産によって7億8700万円にのぼる債権の回収が困難になり、親会社のノーリツ鋼機は同額の特別損失を2013年3月期の決算で計上する影響を受けた。納入済みの製品に対するメーカーとしての責任もあり、事業の承継を決めたものとみられる。
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