「グリーン電力」は何がグリーンなのか?(2/2 ページ)
ソニーや野村ホールディングスは「グリーン電力」を大量に導入している企業として知られている。だが、どちらの企業も発電事業は営んでいないはずだ。グリーン電力とは何だろうか。
正解:
c. 電力の環境負荷価値
ミニ解説
長期的な視野に立てば、各種の再生可能エネルギーの広がりこそが、エネルギー問題や環境問題の解決につながるといえるだろう。再生可能エネルギーは技術開発や普及規模が、化石燃料と比較して遅れている。このため、市場原理だけに従うと、普及に時間がかかるはずだ。各国政府が再生可能エネルギーに対してさまざまな優遇政策を採るのは、普及速度を早め導入規模を拡大して、規模の経済が成り立つように離陸させるためだ。
優遇政策としてよく知られているのが、固定価格買取制度(FIT)や補助金、税金の免除などだ。グリーン電力も優遇政策の1つといえる。再生可能エネルギーを利用した発電事業者に対する助成金に見えるが、行政機関以外にも企業や個人による「助成」が含まれる点で単なる助成金とは異なる。
グリーン電力の基本的な考え方はこうだ。太陽光や風力など再生可能エネルギーを利用して発電された電力には、電力という価値以外に、環境負荷価値があると考える。この環境負荷価値を「グリーン電力証書」という形で証書化する。電力のユーザーは電力購入時、電力料金に加えてグリーン電力証書を購入する。証書の購入代金が発電事業者に助成金として渡ることで、優遇されるということだ。
ユーザーからすると、再生可能エネルギーを利用した発電に自ら取り組まなくても、再生可能エネルギー普及に貢献できるほか、企業であれば環境貢献をうたうことができる。ただし、証書の価値(価格)が変動するため、発電事業者から見ると固定価格買取制度よりもいくぶん不安定な制度だといえる。
海外ではグリーン電力証書を成り立たせる仕組みとしてREC(Renewable Energy Certificate)などの制度が国ごとに定まっている。国内では、日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センターがグリーン電力証書を認定している(図1)。発電事業者が発電設備と発電電力量の認定を受けることが証書化の前提だ。証書の発行元は発電事業者ではなく日本自然エネルギーである。
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