野菜を選ぶように節電する、いま電力を買うべきか判断できる横浜の実験:エネルギー管理(2/2 ページ)
業務用のビルでは消費電力のピークカットが「簡単」だ。設備を管理する専任の部門があり、コスト計算に基づいた行動が採りやすい。電力会社との協力も進んでいる。BEMSを入れて、節電アグリゲーターと契約すればよい。ビルに比べて一般家庭は難しい。現時点では需給ひっ迫時に素早く対応できない。このような状況を変える実証実験が横浜市で始まった。1900世帯を対象とする大規模な実験で、20%のピークカットを目指す。
ひっ迫が起こったとき何をする
実験のために必要な機材はHEMS(Home Energy Management System)とHEMSの情報をインターネットに送り出すアダプター、見える化のための表示装置、スマートメーター(インテリジェントな電力量計)など、さほど多くはない(図3)。電力会社との電力契約も変更しない。
実証実験の期間は2013年7月1日から9月27日までの約3カ月間に及ぶものの、ひっ迫が起こらない日にデマンドレスポンスを実行する必要は少ない。事前の推定によれば、期間中、約14日、ひっ迫が起こる可能性があるという。ひっ迫が予想できた平日の13時から16時の間、最大20%のピークカットを目指す。
図4はひっ迫時の状況を示したものだ。ひっ迫が起こると予想できた日の前日に、デマンドレスポンスの案内がメールで各家庭に届き、電気料金表が参照できるようになる。これまでの見える化情報の記録を参照して、各家庭でどの程度協力が可能か検討を促す形だ。ひっ迫する当日は空調の設定温度を変える、小まめに消灯する、電力をたくさん使う洗濯機や掃除機の仕様時間帯をずらすといった方法で協力する。買い物の時間をピーク時間帯に合わせて、クールシェアで協力するという方法もよい。自宅の消費電力を最大限、抑えることができる。いわゆる外出時間の調整による節電行動である。
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