太陽熱と地中熱を生かす技術、給湯利用が多い施設に適する:スマートハウス(2/2 ページ)
大和ハウス工業は法人顧客の建築物を対象として2020年までに環境負荷ゼロを目指す「Smart-Eco Project」を進行中だ。8つ目のプロジェクトでは自然熱の利用を重視している。給湯の比重が大きい介護施設で取り組む。
太陽熱・地中熱以外でCO2を30%削減
今回の施設では自然熱以外の工夫も3つ加わっている。3つの工夫を合わせると、1990年当時の同社の建築物と比較してCO2排出量を約30%削減できるという。
第1が建物の遮熱性能と断熱性能を高めたパッシブコントロールである。冷暖房に必要な電力削減に役立つ。外壁を高断熱、高気密にした他、室内側のガラスに低放射ガラス(Low-Eガラス)を用いた(図3)。1枚板のガラス(単板ガラス)と比較すると断熱効果が約2.4倍に高まる。複層ガラスと比較しても約1.3倍だ。図3のように窓が占める面積が大きく、ガラスの断熱性能の向上が効く。
第2がアクティブコントロールだ。主に照明に必要な電力削減を目指したもの。全館にLED照明を導入した上で、人感センサーを使って不要な照明を使わないようにした。
第3が見える化による省エネ推進だ。施設内のCO2排出量を削減するには利用者に気付きを与え、改善の方向を分かりやすく表示する必要がある。そこで、スマートマネジメントと呼ぶEMS(エネルギーマネジメントシステム)を導入し、太陽熱と売電、使用電力(空調・照明)などを比較表示できるようにした(図4)。水などの使用量の削減にも役立つ。
なお、大和ハウス工業は法人顧客の建築物を対象として2020年までに環境負荷ゼロを目指す「Smart-Eco Project」を2011年7月に開始、運転時のCO2排出量ゼロを目標としている。今回の実証実験は第8弾だという。
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