安全性を問われる風力発電、国際的な認証機関が日本でサービス開始:自然エネルギー
各地の風力発電所で落下事故が相次ぐ中、発電機の安全認証や発電所の性能評価を実施するサービスが国内でも始まる。風力発電の認証機関として世界第3位の実績を誇るULが、小型風力を皮切りに年末から来年にかけて、発電機メーカーと発電事業者を対象にしたサービスを展開する。
ULは第三者認証機関として、電気製品をはじめ電気自動車や太陽光発電の分野で、安全認証や性能評価のサービスを世界各国で提供している。ヨーロッパを中心に風力発電の実績も豊富で、すでに1400社の顧客を抱えている。海外で提供している風力発電向けのサービスを日本でも提供することにした。
風力発電のサービスメニューは発電機メーカーを対象にした機器の認証と、発電事業者を対象にしたコンサルティングに分かれる(図1)。このうち日本国内では発電能力が20kW未満の小型風力発電機の認証サービスから展開する計画だ。
20kW未満の小型風力発電は固定価格買取制度の中でも最高額の買取価格(1kWhあたり55円)を保証されている。今後は企業などの導入拡大が見込まれることから、安全認証のニーズが高まると判断した。日本法人のUL Japanでは海外で蓄積したノウハウをもとに日本人エンジニアのトレーニングを実施済みで、2013年末から2014年初めにかけて発電機メーカー向けの認証サービスを開始する。
さらに大型の分野では発電事業者を主な対象にしたコンサルティングサービスに力を入れていく。日本国内でも大規模な風力発電所を建設するプロジェクトが数多く進んでいるが、安全性に加えて長期にわたる採算性が問われるようになってきた。UL Japanはヨーロッパなどの実績をもとに、「マイクロサイティング」と呼ぶ事前評価手法を駆使したコンサルティングを提供する。
マイクロサイティングは風車を設置する最適な位置を検討するためのサービスで、対象地域に測定塔を建設して、1年間ほどかけて風況を測定しながら、発電量や騒音の影響などを国際規格に従って評価する(図2)。ヨーロッパでは着床式による洋上風力のプロジェクトも数多く手がけていて、必要に応じて日本にエンジニアを派遣できる体制も整えた。
関連記事
- 風車落下事故の全容が明らかに、アルミ合金製の部品が硬度不足
三重県で4月に発生した破損・落下事故 - 京都の風車落下事故で異常な事態、6基のうち5基に亀裂
風の乱れによる荷重超過が原因か - 風車の修理から1年3カ月で落下、メーカーの設計に従わず主軸が破断
北海道で9月5日の早朝に発生した事故 - 風力発電の3つの課題−環境影響、安全性、コスト−
再生可能エネルギーの現実(2) - メガソーラーの資産価値を第三者が実証、発電量評価から劣化診断まで
第三者認証機関のUL Japanがサービス開始
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.