下水道管の熱エネルギーで給湯が可能に、外気よりも安定した温度を活用:自然エネルギー
仙台市で下水道管から取り出した熱エネルギーを使った給湯システムの実証研究が始まった。実際に埋設されている下水道管の熱を利用した取り組みは日本で初めて。老朽化が進んだ下水道管の補強を兼ねて熱回収機能を付加する。給湯システムは市内のスーパーマーケットに設置して利用する。
地中は外気と比べて温度の変動が小さく、夏は冷たくて冬は暖かい特性がある。都市部の地中に張りめぐらされている下水道管の内部でも、真夏で25度、真冬で15度が標準的な温度になる。この熱エネルギーを使って熱交換システムのヒートポンプを稼働させると、地上よりも効率よく空調や給湯に利用することができる。
仙台市は積水化学工業と共同で、下水道管の熱を利用した給湯システムの実証研究を11月から開始した。老朽化した下水道管を対象に、補強工事と合わせて熱回収機能を付加する。
下水道管の内側に熱回収管をらせん状に巻きつけ、回収管を通して熱媒体を循環させてヒートポンプにエネルギーを伝達する仕組みだ(図1)。
実証研究は若林区の工場跡地を再開発した「ゼライスタウン」で実施する。タウン内にあるスーパーマーケットの「ヨークベニマル若林店」にヒートポンプと貯湯タンクを設置して、店舗内の給湯に利用する予定だ(図2、図3)。2015年3月まで実証研究を続けながら、エネルギー効率やコスト対効果を検証して、事業拡大の可能性を探る。
都市部では大量の下水道管が張りめぐらされていて、地中熱を効率的に取り出す技術を確立できれば、新たな再生可能エネルギーとして利用範囲を拡大できる期待がある。老朽化した下水道管の耐震性や耐久性を高める対策と合わせて導入できることから、設置コストを抑制できるメリットもある。
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