省エネのアドバイスで電力使用量が7%減る、マンション230世帯による実証結果:エネルギー管理
千葉県内の大規模なマンション群で、システムを使った節電対策の効果が明らかになった。2013年の夏に230世帯を対象に実施したところ、電力使用量が平均7%も削減できた。今後は500世帯に拡大するほか、使用中の電気機器を自動で識別する「ディスアグリゲーション」の仕組みも導入する。
マンションを対象にした国内最大規模の節電実証プロジェクトが東京近郊で進められている。千葉県の船橋市にある「プラウド船橋」で2013年の夏から開始したところ、対策を実施していない住戸と比べて1カ月間の電力使用量が平均で7%も削減できた。
実証の対象になったのは233世帯で、3つの対策を組み合わせた。1つ目は電力のピークカットによる割安な電気料金プラン、2つ目は電力使用量の見える化、3つ目は使用量の分析による省エネのアドバイスである。
3つの対策すべてを導入した55世帯では、3つとも導入していない60世帯よりも、昼間のピーク電力が11.1%、1カ月間の電力使用量が6.9%も少なくなった(図1)。省エネのアドバイスを除く2つの対策を導入した53世帯でも、それぞれ6.6%と4.9%の削減効果があった。
この実証プロジェクトで注目すべきは、各住戸に設置したスマートメーターの計測データを分析して、世帯別に「省エネアドバイスレポート」を毎週送付したことだ。例えば平日14時台の電力使用量が多い家庭には、エアコンの代わりに扇風機の利用を推奨する(図2)。加えてプロジェクトの対象になる全世帯に昼間の外出を促すため、近隣の地域で大型商業施設を運営するイオンのギフトカードなどを配布した。
200世帯を超える家庭で節電効果が明らかになったことから、プロジェクトを推進する野村不動産とファミリーネット・ジャパンは2014年1月〜11月に対象を約500世帯に拡大する。さらに4月からは一部の家庭に「ディスアグリゲーション技術」を取り入れて、機器ごとの電力使用量も見える化できるようにする計画だ。
ディスアグリゲーションは住戸全体の電力使用量の波形をもとに、使用中の電気機器を自動的に識別して、個々の電力使用量を推定するものである(図3)。電力センサーを分電盤に接続するだけで機器ごとの使用量を把握できるようになり、こまめな節電対策を実施しやすくなる。これまで国内では実施例がほとんどない先進的な取り組みで、その効果が大いに注目される。
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