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停電時にも地下鉄が走る、非常用バッテリーから回生電力を供給:蓄電・発電機器
災害時などに広範囲で停電が発生すると、鉄道の運行にも支障が出る。地下鉄の東京メトロは駅間に停止してしまった車両が最寄り駅まで自力で走行できるように、非常用のバッテリー装置から電力を供給する実験を進めている。すでに駅間2.7キロメートルの自力走行に成功した。
首都圏で地下鉄を運行する東京メトロは、東京都と千葉県を結ぶ「東西線」で非常用のバッテリー装置を使った自力走行実験を2014年1月から実施中だ(図1)。これまでに西葛西駅−南砂町駅の駅間2.7キロメートルをバッテリー装置からの電力だけで走行させることができた。
非常用のバッテリー装置は駅の構内や駅間に設置して、減速する車両のブレーキから発生する回生電力を充電する(図2)。通常の状態では充電した電力を加速中の車両に供給することで、走行時の電力使用量を削減することに役立てている。
もし大規模な停電が発生して電力会社からの供給が止まってしまった場合には、指令所からバッテリー装置を操作して、停止中の車両に電力を供給できるようにした。停止状態の車両が最寄りの駅まで自力で走行することによって、乗客は暗いトンネルの中を歩く必要がなく、最寄り駅から安全に避難することができる。
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