2014年度の買取価格、太陽光は2円前後の下げ幅に:法制度・規制
政府が3月中に決定する2014年度の買取価格の方向性が具体的になってきた。前年度に続いて太陽光発電だけを改定する見通しだが、下げ幅は少額にとどまりそうだ。1kWあたり2円程度の減額になり、住宅用で36円、非住宅用で34円とする案が現在のところ有力である。
資源エネルギー庁が2月18日の「調達価格等算定委員会」で報告した内容によると、2014年度の買取価格は前年度と同様に太陽光発電だけを改定する見通しだ。価格算定の根拠になる発電コストがさほど下がっていないことから、引き下げ幅は前年度の4円よりも小さく、2円前後に収まる可能性が大きい。
メガソーラーを含む非住宅用の太陽光発電設備では、初期コストの大半を占めるシステム費用が1kWあたり直近で27.5万円になった。2013年度の買取価格を決定した時の28万円から少しだけ低下した状態だ(図1)。
一方で運転維持費は年間に0.9万円/kWから0.8円/kWに下がり、買取期間の20年間では2万円/kWの低減になる。システム費用と合わせてコストが約5%低下する。これを前提にすると、2014年度の買取価格は34円に設定するのが妥当だ。
ただし1点だけ流動的な要素がある。年間の発電量を予測するのに使う「設備利用率」を変更する可能性が出てきたことだ。従来は太陽光発電の設備利用率を12%に設定していたが、固定価格買取制度の適用を受けた発電設備の実績では13.6%と1割以上も高くなっていた。
資源エネルギー庁は2013年度の天候が例年よりも良かったことを理由の1つに挙げている。その点を考慮しても2014年度の買取価格の算定においては13%に変更する必要があるとの判断を示した。もし設備利用率を12%から13%に引き上げた場合には、買取価格はさらに2円安くなって32円まで下がる。
この点で家庭を対象にした住宅用の設備の場合には、発電量の正確なデータを収集することが難しく、設備利用率の変更はないとみられる。買取価格の算定で最も重視するシステム費用を見ると、過去1年間で42.7万円/kWから38.5万円/kWへ、1割ほど安くなっている(図2)。
ところが2014年度から国の補助金が廃止されるために、そのぶんの2万円/kWが初期コストの増加をもたらす。さらに地方自治体の補助金も廃止される可能性がある。そうした点を考え合わせると、住宅用の太陽光発電の買取価格は最大でも2円の減額にとどまり、状況によっては2013年度の38円を据え置く可能性も出てくる。
これから3月中旬あたりまで委員会で検討を続けて、2014年度の買取価格の最終案をまとめる。その最終案をもとに経済産業大臣が3月末までに決定して告示する。太陽光以外の再生可能エネルギーでは、洋上風力発電の買取価格を新設することも検討項目の1つになっている。
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