地熱で最大級の発電所、2019年に秋田県で運転開始へ:自然エネルギー(1/2 ページ)
近年では類を見ない大規模な地熱発電所の建設工事が1年後に秋田県内で始まる見通しだ。地下1500〜2000メートルの深さから蒸気と熱水をくみ上げて、一般家庭で7万世帯分に相当する電力を供給する。2019年5月に運転を開始する予定で、固定価格買取制度の認定設備としては地熱で最大になる。
秋田県の南部にある湯沢市の「山葵沢(わさびざわ)」の一帯では、以前から豊富な地熱資源の存在が確認されていた。数多くの温泉が湧き出ているほか、東北電力の「上の岱(うえのたい)地熱発電所」が29MW(メガワット)の発電規模で20年前から稼働している(図1)。
この同じ地域の国有林の中で、上の岱を上回る42MWの地熱発電所を建設する計画が進み始めた。電源開発(J-POWER)と三菱グループ2社が共同で設立した「湯沢地熱」が発電事業を実施する。建設の認可を得るために義務づけられている「環境影響評価準備書」を3月31日に経済産業大臣に届け出た。
手続きが順調に進めば1年後の2015年4月に建設工事を開始して、2019年5月から運転を開始できる見込みだ。出力42MWの発電設備は2012年7月に固定価格買取制度が始まって以降では最大の規模になる。地熱発電の標準的な設備利用率70%を想定すると、年間の発電量は2億5000万kWhに達して、一般家庭で7万世帯を超える電力を供給することができる。
大規模な地熱発電所を建設するためには、地下から蒸気と熱水をくみ上げるための生産井(せいさんせい)のほかに、発電に利用した後の熱水を地下に戻すための還元井(かんげんせい)を掘削する必要がある。山葵沢の地熱発電では地下1500〜2000メートルの深さまで、9本の生産井と7本の還元井を建設する予定だ(図2)。すでに調査用に掘削した5本は転用する。
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