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「燃料0」で世界一周、ボーイング747より大きな?飛行機自然エネルギー(1/3 ページ)

Solar Impulseは太陽電池とリチウムイオン蓄電池だけで飛行する航空機。乗員の健康が許す限り、いつまでも飛行できる「永久飛行機」だ。第1世代の機体は世界記録を8つも持っている。2013年5月に第2世代の試験飛行を始め、2015年3月からは初の世界一周飛行を試みる。

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 飛行機の主翼に太陽電池を搭載すると、燃料を使わずに飛行できるかもしれない。太陽電池が発明されてから20年後、米国のRoland Boucher氏がこのような飛行機の試作を開始したのは1974年のことだった(詳しくは関連記事へ)。

 それから40年。太陽電池を使った飛行機は徐々に性能を高めていき、とうとうパイロットを乗せて世界一周を狙えるほどになった。2014年4月に機体が公開された「Solar Impulse 2(ソーラー・インパルス2)」である(図1)。

 2014年5月に試験飛行を実施後、スイス縦断の訓練飛行を経て、2015年3月から世界一周飛行を開始する予定だ。湾岸地域を飛び立った後、アラビア海、インド、ビルマ、中国、太平洋、米国、大西洋、南欧(または北アフリカ)を経由し、出発点に戻る計画である。3月を選んだのはインド洋に起こる強い季節風「モンスーン」を避けるためだ。


図1 完成した「Solar Impulse 2」の機体 出典:Solar Impulse

主翼はボーイング747よりも長い

 Solar Impulse 2は極端な飛行機だ。主翼全長は72mもあり、これは最新のボーイング747-8I(同68.5m)よりも長い(図2)*1)。1人乗りで炭素繊維製だ。このため、重量はわずかに2300kg。これは乗用車1台分、ボーイング747-8Iの最大離陸重量の約200分の1という軽さだ。このサイズにしては最も軽い航空機だという。

*1) 揚力の水平成分(抵抗)である誘導抗力を最小化し、太陽電池の搭載面積を最大にする設計の結果である。


図2 機体のサイズ比較 出典:Solar Impulse

 Solar Impulse 2は化石燃料を一切使わずに飛行する電気飛行機だ。電力源を2系統備えており、原理的には昼夜を問わず無制限に飛行できる。まずは太陽電池である。主翼と胴体、水平尾翼に1万7248セルの単結晶シリコン太陽電池セルを貼り付けた(図3)。太陽電池にはさまざまな方式があるため、重量と形状の柔軟性、変換効率の3つを選択基準としたのだという。太陽電池セルはわずか0.135mmと薄く、変換効率は23%もあるという。驚くべき性能の高さだ。


図3 太陽電池を翼に設置しているところ(2013年11月時点) 出典:Solar Impulse
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