温泉の天然ガスでコージェネ、沖縄本島で進む「スマートリゾート計画」:自然エネルギー
沖縄県の南城市で、温泉から生まれる水溶性の天然ガスを利用した「スマートリゾート計画」が動き出した。拠点になるリゾートホテルにコージェネレーションシステムを導入して、電力と熱を地域に供給する計画だ。さらに排出するCO2を農作物の栽培に生かす「トリジェネ」にも挑む。
沖縄本島の中南部から宮古島にかけた一帯では、地下に水溶性の天然ガスが埋蔵していることが以前から確認されている。メタンガスを主成分にして、硫黄などの不純物を含んでいないことからクリーンエネルギーとみなされる。この天然ガスを利用したコージェネレーションシステムの導入プロジェクトが本島南部の南城市で始まる。
市内にある「ウェルネスリゾート沖縄休暇センター ユインチホテル南城」が最初の導入場所になる(図1)。このリゾートホテルの敷地内では、2009年から資源エネルギー庁の支援を受けて、地下を掘削して水溶性の天然ガスを抽出する事業を進めてきた。
新たに環境省から2014年度の「地熱・地中熱等の利用による低炭素社会推進事業」の補助金を得て、天然ガスによるコージェネレーションシステムを導入することが決まった。総事業費は8964万円で、そのうち4150万円を補助金でまかなう。
南城市は2011年度に内閣府による「環境未来都市構想」の対象に選ばれている。環境・健康・観光の3つを柱にした「ウェルネス・スマートリゾート」を将来構想に据えて、水溶性の天然ガスを活用した産業の育成を推進中だ(図2)。
この構想では2023年までに12基のコージェネレーションシステムを導入する目標を掲げて、1000kWの電力を供給できるようにする。電気料金の高い沖縄で地域のエネルギーコストを削減する狙いもある。
天然ガスから作った電力と熱をホテルや医療・介護施設で利用するほか、住宅や農業にも供給対象を拡大していく。さらにコージェネレーションで発生するCO2を農作物の栽培に生かして「トリジェネレーション」にも取り組む計画だ。電力+熱+CO2の3つを同時に供給するのがトリジェネで、マンゴーなどのハウス栽培に利用する。
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