太陽とガスとデマンドレスポンスで、夏の電力需要を58%削減:エネルギー管理
横浜市で進められているスマートシティ・プロジェクトの一環で、東京ガスが太陽光や太陽熱を活用したマンションを社宅に使って実証試験を続けている。2013年度には電力需要のピークを抑制するデマンドレスポンスを実施した結果、夏に58%、冬に49%の電力を削減することに成功した。
東京ガスは「集合住宅版スマートハウス実証試験」を2012年4月から横浜市内で実施している。地上4階・地下1階の新築マンションを社宅に利用して、24世帯がエネルギー使用量の削減に取り組むプロジェクトである。太陽光による発電と太陽熱による給湯のほか、ガスで電力と熱を供給するエネファームや蓄電池を導入することで、電力とガスを合わせたエネルギーの使用量を通常と比べて37%も削減できた(図1)。
さらに2013年度は夏と冬の電力需要がピークになる時間帯にデマンドレスポンスを実施して節電効果を検証した。スマートシティ・プロジェクトで運営するCEMS(地域エネルギー管理システム)から信号を出して、それを受けたマンション内の「統合制御サーバー」がエネファームの発電量を最大にして、蓄電池からも放電する一方、居住者の端末に通知を送って節電を要請する仕組みだ(図2)。
デマンドレスポンスを実施する時間帯は夏が7〜9月の3カ月間にわたって13時から16時まで、冬は1月の17時から20時までを対象にした。実施した日と直前の5日間(土日祝日を除く)で最大電力の平均値を比較したところ、夏は58%、冬は49%の削減率になった。太陽光や太陽熱を使ってエネルギーの使用量を37%削減した状態で大きな節電効果を発揮した。
このマンションに導入した太陽熱によるガス温水システムでは、屋上に設置した集熱パネルから吸収した熱で水を温めてから、必要に応じてガスを燃焼させて給湯や床暖房に利用することができる(図3)。ガスと再生可能エネルギーを組み合わせた高効率の熱源として、新築マンションを中心に導入例が増え始めている。
横浜市のスマートシティ・プロジェクトは2010〜2014年度の5年間をかけて、広域に及ぶ再生可能エネルギーの導入とエネルギー管理システムの活用をテーマに、各種の実証試験に取り組んでいる。その中で住宅を対象にしたプロジェクトには東京ガスのほか、パナソニックや東芝、日産自動車などが参画している。
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