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台風に強い風力発電所が沖縄の離島に、石油を使わず電力需要の3割をカバー:自然エネルギー
分散型の電力源を必要とする沖縄の離島で新しい風力発電所が運転を開始した。沖縄は台風が頻繁に来襲するために強風対策が必要だ。本島から西側にある粟国島では風車を地面に倒せる「可倒式」を採用して、455世帯が暮らす島の電力の3割を供給できるようになった。
粟国島(あぐにじま)は沖縄本島から西へ50キロメートルほどの位置にある、貝のような形をした美しい島である(図1)。面積が7.6平方キロメートルの島内に、455世帯の759人が暮らしている。島の電力需要は最大850kW程度で、これまでは6基のディーゼル発電設備(合計1600kW)で電力を供給してきた。
新たに沖縄電力が島の南西の端に「粟国可倒式風力発電所」を建設して、6月30日に運転を開始した。2枚の羽根で構成する直径30メートルの風車を使って、最大245kWの電力を供給することができる。島の電力需要の約3割に相当する供給力になり、ディーゼル発電設備の燃料に使う石油の消費量を大幅に削減する。
粟国島を含む一帯は台風が常襲する地域で、強風対策が欠かせない。風力発電設備には「可倒式」を採用して、強風時には風車を地面に倒して事故を防ぐ構造になっている(図2)。風車を支えるタワーが2本に分かれていて、ケーブルを使って風車を立てたり倒したりすることができる。
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