米国発のニューフェースは根付くか、100MW規模の太陽電池を国内へ:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
エクソルとファースト・ソーラー・ジャパンは2014年7月、太陽電池モジュールについて年間100MWを目標とした供給取引契約を結んだことを発表した。国内に大量導入されたことがない「CdTe薄膜太陽電池」を扱う。高温や影に強い特性があり、従来の太陽電池の強敵となりうる能力を秘めている。
First Solarの太陽電池は何が優れるのか
First Solarは同社の太陽電池モジュールが価格性能比に優れることを強調、早くも2009年には出力1W当たりの製造コストが1米ドルを下回ったことを公表している。ただし、今回は製造コストではなく、同太陽電池モジュールの性能を力説した。
First Solarは日照によってモジュールの表面温度が上がった場合、CdTe薄膜太陽電池が結晶シリコン太陽電池よりも有利だとしている*2)。具体的には公称出力当たり8%以上、結晶シリコン太陽電池よりも実発電量が増えるという。
温度や影の影響を受けにくいことから、エクソルは「他の太陽光技術よりも高温気候下で5〜9%の年間エネルギー収量の優位性がある」としている。
高温環境や影に強いという特徴は日本の住宅環境で生きる。日本の住宅とユーザーの特性を分析して、「屋根が小さかったり、外観を気に掛ける顧客にまず薦めようと考えている」(エクソル)という。
新太陽電池モジュールに対するエクソルの評価を図4に挙げた。
*2) 太陽電池は表面の温度が高いほど出力が下がるため、25度のときの出力値を製品の公称出力としている。表面温度が60度のとき、結晶シリコン太陽電池の出力は公称出力の70%以下に下がる。CdTe薄膜太陽電池では90%にとどまり、20ポイント有利になる。温度上昇当たりの出力低下の割合を温度係数と呼び、CdTe薄膜太陽電池ではー0.29%/度。なお、国内でも夏季に太陽電池の温度が60度に達することは珍しくない。
影の影響がじわじわと現れる
影の影響とは何だろうか。太陽電池モジュールの一部に影が掛かったとき、発電量にどのような変化が現れるのかは、モジュールの構造によって異なる。
図5は影に対する影響の違いを、CdTe太陽電池モジュール(FS)と結晶シリコン太陽電池モジュール(c-Si)で比較したものだ。右側のグラフを見てほしい。FSは影が増えるに従って、一定の比率で出力が下がっていく一方、c-Siはガクガクと階段状に下がる。このため、ほとんどの場合、FSが有利になる。
このような違いが現れるのは、図5左にあるように太陽電池モジュール内部の太陽電池セル(と配線)の配置の違いによる。
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