1万台の蓄電池――遠隔制御で電力の「あふれ」なく、電気料金も削減:エネルギー管理(2/2 ページ)
エナリスは2015年から「バッテリーマネジメントサービス」を開始する。250億円を投じて、公共機関や大規模店舗、オフィスビルなど電力を消費する需要家側に合計1万台の蓄電池を取り付ける。蓄電池全体としてデマンドレスポンス要請に応えることで、電力需給バランスをとることが可能になる。需要家は月額数千円の費用を支払うことで、電気料金を3〜5%削減できるメリットがある。
初期費用は無償
今回のサービスの対象となるのはエナリスの電力代理購入サービスのユーザー。同サービスと組み合わせることで、電力代理購入単独のサービスよりも、電気料金の割引が大きくなるという(図2)。
需要家のメリットは、今回のサービスを通じた電気料金削減など3つある。まずは電力のピークカット制御を利用して、契約電力を削減できることだ。もう1つは安価な夜間電力を蓄電し、昼間に放電できること。これも電気料金削減につながる。最後に停電時のバックアップ電源を得ることだ。「蓄電池を設置するための初期費用はゼロだ。蓄電システム1台当たり数千円の月額料金を予定している。蓄電池を設置した拠点あたり、3〜5%の電気料金を節減できると予想しており、需要家のメリットは大きいだろう」(エナリス)。
一般電気事業者(電力会社)のメリットは、再生可能エネルギーの出力変動による需要と供給(発電)の差を吸収できること。需給バランスが安定し、非効率な発電所が稼働する時間を減らすことができる。
エナリスのメリットは、電力代理購入サービスの契約件数が増えること、同サービスの利益率が高まること、新しいエネルギーインフラを構築することで、系統安定化サービスを事業化できることだ。
東芝のSCiB蓄電池を生かす
エナリスは東芝ITコントロールシステムから、合計1万台の蓄電池システムを購入する。蓄電池システムの容量は1台当たり9.9kWh。出力は10kWである(図3)。
蓄電池システムは東芝が開発したSCiBリチウムイオン蓄電池セル(20Ah)を内蔵しており、約1万回の充放電が可能だ。東芝によれば、SCiBの特徴は寿命が長く、安全で、低温動作に強いことだという。マンガン系正極とチタン酸リチウム系負極を組み合わせた蓄電池である。
外部とは単相三線で接続する。寸法は950mm×550mm×1600mm。重量は約511kg。屋外に設置する。
関連記事
- MEMSアグリゲータが一挙24社に、130億円の補助金をめぐる動き加速
エナリスはBEMS最大手 - 休眠状態の発電所をバイオ燃料で復活、エナリスが茨城県で開始
エナリスが自社電源を拡大 - 太陽光発電の買取価格を1円高く、ミサワホームが住宅向けに新サービス
エナリスと協力 - 風力発電所が集中する東北に大型蓄電池を配備、最大出力40MWで2015年に稼働
東芝のSCiB蓄電池を利用 - ホンダの「フィットEV」、電費性能世界一をうたう
東芝のSCiB蓄電池を利用
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.